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コロナ禍の高齢者の心模様は? 看護学生3人、記事2700件を分析

新型コロナウイルス

五十嵐聖士郎
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 【兵庫】長引く新型コロナウイルス禍で、高齢者は何を思い、どのように暮らしているのか。神戸市看護大学(西区)の4年生3人が看護に生かそうと、高齢者の実態がわかる朝日新聞などの記事を約2700件集めて分析した。重症化しやすい高齢者は感染危機に強い不安を抱く一方、日常のささいな変化や社会とのつながりを生きる活力とする様子が浮かび上がった。

 3人は坪井桂子教授(老年看護学)のゼミを受ける4年生の足立佳音(かのん)さん(21)と宇上紗永(うじょうさえ)さん(22)、高田志穂さん(22)。新型コロナの流行で学生生活は制限され、3年生時の臨床研修は満足にできず、授業はオンラインが活用された。そんな中、3人は卒業研究で、感染による重症化リスクが高い高齢者の実態を探ろうと決めた。

 コロナ禍でインタビューは難しいため、新聞記事に着目。大学の図書館で、朝日新聞など3紙を手分けしてめくった。期間は感染第4波とされた昨年3~6月。投稿欄や介護施設のリポート記事など、コロナ禍での高齢者の暮らしや心情がわかる記事を拾い、その心模様を分類していった。

 集めた新聞記事は608件。そこから読み取れた心情を「生活の豊かさ喪失による悲哀」や「困難な中で前向きに生きる強さ」「ぬぐいきれない感染への恐怖」「これまでとは異なる最期への思い」――など、13分類に分けた。

 足立さんは「新聞には高齢者のリアルな声が載っていた」と振り返る。3人で一つの記事を読み返し、高齢者の思いを話し合うこともあったという。

 記事を通して、高齢者は感染すれば死が近づく不安を強く抱いていることを実感した。ただ、それだけではない。「自粛生活の中で、季節の移り変わりや動植物の様子など日常のささいなことを前向きにとらえ、生きる喜びにする姿が見られ、印象的だった」

 宇上さんの心に残った記事は、ワクチン接種を受けた瞬間に医療従事者や開発者らへの感謝で胸がいっぱいになったという投稿だった。豊かな人生経験や広い視野、気づく力をもつ高齢者は、その強みが生きる力になっていると見る。

 感染拡大で、宇上さん自身、病院に行っても医療を受けられない恐怖や、看護する患者を知らないうちに感染させる不安を感じた。だが、「高齢者は決して弱い存在ではなく、強く生きて適応もしている。人それぞれの強みを生かしながら、足りない部分を支援する看護が必要だとわかった」と研究成果を語る。

生きがい奪われ亡くなった祖父

 高田さんは昨年12月、87歳の祖父を亡くした。老人会のカラオケなどを生きがいにしていた祖父は、コロナ禍で自宅に閉じこもるようになって認知症が悪化し、その3カ月前に入院。病院の面会制限で、祖父の最後を見送れなかった。

 祖父に重ねて、読んだ記事があった。自治体が寄席に休業要請したことを受け、楽しみの落語が奪われないよう願う70代女性の投稿だった。高齢者にとって、生きがいや楽しみがいかに重要かを知った。「コロナ禍で苦しい思いをしている高齢者はたくさんいる。周囲の人たちは少しでも気にかけてほしい」と社会的な環境整備を訴える。

 卒業研究では、朝日新聞のニュースサイトに2020年1月から昨年8月までに載った2118件の記事も分析。当初は「コロナの基本情報」が多かったが、買い物代行など「日常を守る支援」や「豊かな生活への影響」に関するものが増加した。感染拡大期はその状況を伝える内容が最も多く、昨年2~6月はワクチンに関する記事が大半を占めた。感染者数と記事数の増減はほぼ重なっていた。

 指導した坪井教授は「膨大な記事から高齢者の思いや暮らしを若い感受性で読み取り、臨床と変わらない経験になったと思う。感染拡大が繰り返される中、研究が高齢者の豊かな暮らしの一助になれば」と話す。(五十嵐聖士郎)

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