女性が少ないIT業界で起きる問題とは? 社員が理系の高校生に授業

鈴木裕
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 【愛知】暮らしの中で幅広く使われている情報技術(IT)。だが、IT分野で働く女性の比率は低いのが現状だ。ジェンダーギャップを放置すると、どんな問題が起きるのか。IT企業で女性はどんな働き方をしているのか。理系を選択した高校生に、エンジニアやマーケティング担当として働く女性たちが経験やアドバイスを出張授業で語った。

 愛工大名電高校(名古屋市千種区)と、東京のパソコンメーカー「レノボ」、IT分野のジェンダーギャップの解消をめざす活動をしている一般社団法人「Waffle(ワッフル)」をウェブで結び、13日に開かれた。理系を選択した普通科2年生2クラスを対象にした「理系モチベーション授業」として、女子生徒だけでなく男子生徒も受講した。

 ワッフル共同創業者の田中沙弥果さんは、GAFA(ガーファ)と総称される米国の巨大IT企業(グーグル、アップル、フェイスブック〈現在はメタ〉、アマゾン)でも女性の比率は20%前後にとどまっていて、特に技術者や管理職が少ないと指摘。文部科学省の調査では、国内の大学で理系学部の女性の割合が28%ほど、工学系学部では16%ほどにとどまっている現状を示した。

 さらにIT業界に女性が少ないことで起きる問題として、顔認証システムで女性や有色人種ら少数者の誤認証が多い事例や、アマゾンのAI(人工知能)を使った人材採用システムに女性を差別する欠陥が見つかったことを紹介した。

 田中さんは「女性には自分の好きなこととITを組み合わせた仕事はどう?と提案している。男性には科学技術の発展で女性の視点が抜け落ちることで不公平や差別が生まれることを知ってほしい」と強調した。

 続いて、IT企業で実際に働いている女性として、レノボのエンジニア有馬志保さんと、レノボコンシューマーブランド事業戦略統括を務める柳沼綾さんが話した。大学で情報工学を専攻した有馬さんは「工学部でも情報系は女性が比較的多く、女性でも抵抗感なく学べる。外資系のIT企業は即戦力として扱ってくれるので働きがいがある」とアドバイスした。考古学専攻だった柳沼さんは、ITとネットの可能性にひかれてIT業界に入り、性別や年齢に関わりなくリーダーの仕事を任された経験について語った。

 生徒たちは「統計学が好きなので理系を選んだ。大学で学んだことを生かせる仕事に就きたい」(女子)、「ITで働きたいと考えていたので、授業を受けたことで世界が広がった」(男子)と感想を話した。

 出張授業は、レノボとワッフルが全国の高校で無料で開いている。授業を依頼した愛工大名電高の内海那保子教諭は「理系選択の女子をどう増やすのかは、私にとっても大きなテーマ。理系で学んだ女性や、IT企業で働く女性の声を直接聞く機会は貴重」と話していた。(鈴木裕)