「協力金足しにならない」「インパクト大きい」感染1万人超の東京は

新型コロナウイルスオミクロン株

横山輝 抜井規泰
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 新型コロナの感染者が東京都で初めて1万人を超え、1万1227人に。21日には、「まん延防止等重点措置」が都全域に適用された。昨年9月末に緊急事態宣言が解除されて以来の「制限」となる飲食店街と、初めての週末を迎えた行楽地を歩いた。

飲食店@錦糸町

 重点措置が適用されたのは金曜日。飲食店は、「酒類の提供を終日せず、夜8時まで営業」か、「酒類提供(11時~夜8時)をして夜9時まで営業」かを選ぶことになった。

 諸外国の料理を味わえる店が集う錦糸町(墨田区)。昼過ぎ、牛肉入りフォーが人気のベトナム料理店「インちゃん」に女性2人組が入った。ビールを注文したが、店長の松元日向子さん(28)が申し訳なさそうに提供を断ると、店を出た。松元さんは紙に赤い油性ペンで「酒類の提供を中止しています」と走り書きし、メニューに貼った。

 この店では約3週間の措置期間中、酒類を出さずに夜8時まで営業する。酒類より食事の売り上げが大きいことが理由だ。

 店をオープンしたのは1年半前。コロナ禍で浮き沈みを繰り返してきた。店側が「選択」できることは悪くないと感じるが、「気は晴れません。いつまで続くんだろう」。夜8時を過ぎて街を眺めると、営業を続けている店がほとんどだ。「9時まで」を選んだ店が多かったようだ。

 「8時でも9時でもそんなに変わらないんだから、9時まで開けた方がいいに決まってんじゃねえか。協力金なんか、足しにならねえ」。早口で言い切ったのは、老舗中華店の男性店主(74)だ。協力金は、酒類提供をした場合の下限が1日3万円で、提供しない場合より5千円少ない。「1日10万円くれるなら休んでもいい。時短営業しても家賃と人件費はかかるんだ」

 近くのイタリア料理店ではこの日夕、男性店長(31)に社長から電話があった。「9時までは今日から3日間。その後は休む」という内容だった。期間中は夜9時までのはずだったが、急な方針転換。ワインが豊富な「酒で稼ぐ店」なので、コストと売り上げをはかりにかけ、休む判断をしたという。

 男性店長も「店側で営業時間を選べるのはいいこと」というが、対応策の発表は19日で、判断までの猶予は2日間だけ。「ちょっと急すぎませんか」

 錦糸町駅近くに住む会社員の植本康子さん(41)は午後8時過ぎ、行きつけのバーに入った。ビールを頼み、なじみの店主と「まん延防止ってなんなんだろうね」と盛り上がる。「8時とか9時とか、どこまで意味があるんだろうって思います。乗ってきた総武線、すごい混んでましたよ」(横山輝)

観光客@浅草

 22日の昼下がり。東京都・浅草の浅草寺では、雷門の大提灯(ちょうちん)をバックに記念撮影する人たちが順番待ちの列をつくり、本堂へとのびる仲見世通りには多くの人が歩いていた。

 名古屋市から来た山下孝太郎さん(37)は、重症化しにくいとされるオミクロン株の特性に触れ、「外出をしないのは現実的じゃない」と話す。「経済を回しつつ、感染に注意しながら生活するのが最善」

 にぎわいが戻りつつあるように見えるが、浅草名物の「常盤堂 雷おこし本舗」の名取純平さん(28)は「本来の浅草寺のにぎわいは、こんなもんじゃありません。いま普通に歩けるじゃないですか」と語る。成人式があった3連休(8~10日)では「戻ってきた」と感じた人出が、再び減っているという。

 名取さんは、東京の緊急事態宣言が一時解除された昨年3月22日、取材に「土産の需要が少しずつ戻ってきた」と話していた。あれから1年弱。「まん延防止措置より、『都内で1万人』という数字のインパクトが大きい。観光地に出かけようとは思わなくなるのでは」とため息をつく。

 昨年3月に取材に応じてくれた昆布専門店「大海屋」も訪ねた。当時、80歳を超える店主の杉本雅大さんは「採算なんて全く取れない。我慢して店を開いているだけ」と語っていた。この日、店のシャッターは閉じていた。近くの店によると、コロナに耐えきれず閉店したという。(抜井規泰)

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