「核廃絶、理想でなく目先の課題」核禁条約発効から1年、若者ら議論

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三宅梨紗子 岡田将平
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 【広島】核兵器禁止条約の発効から1年を迎えた22日、日本原水爆被害者団体協議会日本被団協)やNGOでつくる「核兵器廃絶日本NGO連絡会」は、オンラインイベントを開催し、核兵器廃絶に向けて市民社会ができることなどを話し合った。

 前半は「勝手に採点!日本の核政策」と題し、専門家や大学生、高校生らがパネルディスカッションに臨み、日本政府の核軍縮の取り組みを議論、評価した。5分野の採点の結果は100点満点中38点だった。

 核兵器禁止条約に後ろ向きな日本政府の姿勢について、長崎大核兵器廃絶研究センターの中村桂子准教授は「アプローチが違えど、価値を認めるような発言を一歩進んでできる。もっと上手に出せば、(核保有国と非核保有国の)橋渡しができると思う」と発言。広島の高校2年生、岡島由奈さんは「岸田首相は(「出口」として)条約の意義を認めているが、締約国会議のオブザーバー参加の表明はしていない。被爆者の声よりも米国の顔をうかがっていることを悲しく思う」と話した。

 ウィーンなどで大使を務めた元外交官で広島平和文化センター前理事長の小溝泰義さんは「核兵器禁止条約の必要性を認識している国が増えているのが国際社会の現実」と指摘し、「核軍縮の検証など、日本がオブザーバー参加をして貢献できることはたくさんある。被爆地出身の岸田首相が理を尽くせば、(オブザーバー参加に)米国も反対しないと思う」と語った。

 日本被団協事務局次長の和田征子さん=横浜市=もメッセージを寄せた。条約が発効した1年前を「平均年齢84歳の被爆者にとって、生きていてよかったと思える喜びだった」と振り返り、「実効性のある条約にするのは日本の責任だ」と述べた。

 後半には、3月にオーストリアのウィーンで開催が予定される条約の第1回締約国会議に向けて、国際NGO・核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のスタッフが「世界の核軍縮、核不拡散にとって重要な会議」と意義を説明した。

 日本と同じく米国の「核の傘」の下にいて、締約国会議へのオブザーバー参加を決めたドイツのICAN理事、フロリアン・エブレンカンプさんは「核兵器を完全になくすための最大の会議にオブザーバーとしてでさえ参加しないのなら、どうやって他の核軍縮政策を信頼を得ながら進められるのか」と話し、日本に対してもオブザーバー参加を呼びかけた。

 最後には、広島、長崎出身の大学生らでつくる団体「KNOW NUKES TOKYO」の共同代表を務める慶応大3年の高橋悠太さんが「核廃絶は遠い未来の理想ではなく、目先の課題だ。条約を生かすには、誰しもが関心をもつことが大切だ」と市民社会の協力を呼びかけた。(三宅梨紗子)

■市民団体「動かなくちゃいけ…

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