ミャンマー中部マグウェー出身という女性(24)は、最大都市ヤンゴンのカラオケ店でユヤと名乗っている。店で働き始めたのはクーデター後の昨年3月。縫製工場を解雇されたのがきっかけだ。
家族のためにヤンゴンで働き続けたかった。カラオケ店で働く同郷の友人の女性に誘われた。「うちの店ならあなたも働ける。職に就けないより、ずっと良いでしょう」
その仕事が何なのか、ユヤは知らなかった。「客の隣に座って、グラスに酒をつぐだけの簡単な仕事」。友人がそう繰り返すので働いてみることにした。
仕事内容は友人の言う通りだった。客と一緒に歌い、酒をつぐ。
ただ、休みは月2日だけ。基本給はたった3万チャット(約2千円)。ミャンマーの1日の最低賃金4800チャット(約310円)で1カ月間働くより少ない。工場勤務では20万チャット(約1万3千円)稼ぎ、半分を実家に送っていたのに。
そのうち、約20人いる同僚の多くが店の目を盗んでは客とホテルへ行っているのを知った。働き始めて3カ月後。顔見知りになった店の客のひとりにユヤも誘われた。
「恐ろしくて、悲しかった」
カラオケ店のマネジャーには…