名護市長選、政権推す現職の渡具知氏再選 辺野古移設反対の新顔破る

沖縄・本土復帰50年

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 沖縄県名護市の市長選が23日投開票され、米軍普天間飛行場宜野湾市)の名護市辺野古移設を進める岸田文雄政権が推した現職の渡具知武豊氏(60)=自民、公明推薦=が、移設に反対する玉城デニー知事が支援した前市議で新顔の岸本洋平氏(49)=立憲民主、共産、れいわ、社民、沖縄社会大衆推薦=を破り、再選を果たした。

 渡具知氏は移設について賛否を明言せず「黙認」しており、政府は引き続き工事を進める。辺野古の海の軟弱地盤判明で政府が出した設計変更について、玉城知事が不承認とし、4分の3の区域で埋め立てが進められない状態にあるが、最大の山場となる秋の知事選に向けて、玉城知事や、支持勢力「オール沖縄」にとって厳しい結果となった。

 市長選は移設計画浮上から7回目。政府が2018年12月に土砂投入を始め、19年に軟弱地盤による設計変更の必要性を認めてから初めての選挙戦だった。

 渡具知氏は移設について「国と県の裁判を見守る立場」を維持。一方で、「移設反対」の前市長時には交付されなかった国の米軍再編交付金を受け取り、学校給食費や子ども医療費などの無償化にあてた。

 選挙戦でも移設問題をほぼ語らず「子育て支援」を実績として訴えた。財源にはふれず、「国と交渉して実現させた」と政権との協調路線を強調した。知名度が高い小泉進次郎衆院議員らがオンラインで支持を呼びかけるなど、自民、公明も全面支援し、支持を広げた。

 岸本氏は移設反対を前面に打ち出し、「軟弱地盤で完成は不可能。これ以上、国民の税金を費やすことは許されない」と主張。賛否を語らない渡具知氏を「市長としての責任放棄」と批判した。玉城知事も、米軍由来とみられる新型コロナの急拡大を引き合いに「日米地位協定の見直し」も訴えて基地問題の争点化を狙ったが、浸透しなかった。

 移設計画をめぐっては19年2月、移設の是非を問う初の県民投票で7割が反対した。しかし政府は工事を継続し、21年4月までに南側(約39ヘクタール)の陸地化を完了した。北側(約111ヘクタール)は軟弱地盤の存在が判明し、政府と県の対立は今後、長期の裁判に発展する可能性もあり、工期が大幅に遅れている。

 今年は沖縄で重要選挙が続き、その初戦としても岸田政権、玉城知事双方が重視していた。