コロナ禍の名護市長選、有権者の選択は 米軍基地移設巡る対立の行方

有料会員記事沖縄・本土復帰50年

国吉美香、神沢和敬、上地一姫
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 重要選挙が続く選挙イヤーの初戦となった沖縄県名護市長選は、米軍普天間飛行場宜野湾市)の辺野古への移設計画をめぐって対立する岸田政権、玉城デニー知事それぞれが推す候補の一騎打ち。コロナ禍で沖縄の課題が浮き彫りになる中、双方とも全力の支援態勢で選挙戦を展開した。

 新顔の岸本洋平氏(49)は辺野古移設阻止を掲げ、玉城デニー知事や知事を支える政治勢力「オール沖縄」が全力で支援した。

 「(辺野古は)軟弱地盤があって、設計通りに工事は進まない」。玉城知事が力を込めたのは、自らが政府に通知した「不承認」だ。

 辺野古で見つかった軟弱地盤をめぐり、玉城知事は昨年11月、地盤調査の不十分さなどを理由に政府の設計変更申請を不承認とした。法廷闘争に進む可能性があるが、予定区域の4分の3で埋め立てができない状態が続く。

 玉城知事は1週間の選挙期間中、全国最悪の感染状況が続く新型コロナウイルスの対応に追われながら、名護に4回足を運んでマイクを握った。故・翁長雄志(たけし)前知事の妻も並んで街頭に立ち、「辺野古」を争点に持ち込むことを狙った。

 国政野党も各党が足並みをそろえ、岸本氏を支持。立憲民主党泉健太代表らは岸本氏の集会にオンラインで参加した。泉執行部にとっても、与野党一騎打ちで戦う大型選挙の初陣であり、立憲幹部は「(勝てば)岸田政権のダメージも大きい。重要な一里塚になる」と語る。

 現職の渡具知(とぐち)武豊氏(60)は、移設問題について「国と県の裁判を見守る」と賛否を明言しない姿勢で臨み、自民、公明が組織をフル回転させて支えた。

 岸田政権にとって、現職が再選をめざした今回は、もともと「負ける気はしない」(閣僚)戦いだった。だが、選挙が近づくなかで、復帰50年を迎える沖縄が直面する問題がむき出しになる事態も起きた。

 昨年末から米軍基地新型コロナの大規模な感染があり、住民にも感染者が拡大。米軍関係者は日米地位協定で日本の検疫の対象外で、日本政府の手が及ばない「穴」を浮き彫りにした。

 岸田文雄首相は1月上旬、記者団に「日米地位協定の改定は考えていない」と早々に表明。一方で、コロナ対応が市長選の行方に影響を及ぼしかねない状況を踏まえ、自衛隊で看護師資格を持つ「看護官」らを沖縄にすぐに派遣するなど手厚い対応をとった。

 茂木敏充幹事長ら自民党幹部は、東京から沖縄の企業関係者らに「もう一押しを」と電話をかけ続けた。「今回の勝利で、今後の争点は移設問題から経済と暮らしになる」。自民党関係者はそんな予測を語る。(国吉美香、神沢和敬、上地一姫)

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