「市民のNO、ブレーキにならず…」 うんざり感が生んだ名護の選択
23日に投開票された沖縄県名護市長選で、現職の渡具知(とぐち)武豊氏(60)が、辺野古移設への反対を掲げた岸本洋平氏(49)をやぶって再選を果たした。辺野古沿岸への土砂投入が始まって3年。市民は移設を受け入れたのか。辺野古でのフィールドワークを続ける熊本博之・明星大教授に聞いた。
1975年生まれ。早稲田大助手などを経て、明星大人文学部教授。辺野古での聞き取り調査を20年近くにわたって続けている。近著に「交差する辺野古」(勁草書房)。
――この結果から私たちは何を読み取ればいいのでしょう。政府が強引に工事を進めても、市民は現状を変えたくないと望んだのですか?
「渡具知市政は、政府からの米軍再編交付金をもとにした『三つのゼロ』を主な実績に訴えました。子ども医療費・学校給食費・保育料の三つです。市民は、その市政の継続を選んだ。それは間違いないです」
「しかし名護市民が『決定権なき決定者』であることを忘れてはなりません。『決定権なき決定者』にさせられている、と言うほうが正確かもしれませんが」
――どういう意味ですか?
「もう25年にもわたって…
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【視点】辺野古移設をめぐっては、きょうから始まる国会の予算委員会でも論点の一つとなりそうです。岸田文雄首相は昨年12月の臨時国会の予算委で、「検討」という言葉を少なくとも68回使っていました。首相が自負する「聞く力」をアピールしつつ、与野党との論戦
【視点】沖縄県名護市にはずいぶん昔ですが、足を運んだことがあります。人口6万人余りのそう大きくないまちです。辺野古の海は絶景でした。そこに全国から注目が集まり、巨大な政治力がそそがれ、市民は激闘を強いられてきました。 それでも政府の方針は変わ