CMは濃いけど、味はあっさり 「金ちゃんラーメン」調理のコツは?

杉田基
【動画】徳島県の徳島製粉「金ちゃんラーメン」=工場内は徳島製粉提供、杉田基撮影
[PR]

 CMは濃いが、味はあっさり。大阪育ちの記者にとって、金ちゃんラーメンは子どもの頃から身近な存在だ。半世紀を超えて愛される秘訣(ひけつ)が知りたくて、徳島製粉本社を訪ねた。

 徳島市内の繁華街から歩いて15分ほど。併設されている工場の壁には「金ちゃんラーメン 金ちゃんヌードル」と大きな文字で書かれている。

 創業は1943年。もともとは小麦粉をパン製造業者に卸していたが、初代社長の故田中殖一(ふいち)氏が「現状維持では成長しない」と、即席ラーメンの開発を64年に始めた。

 周囲は反対したという。参入した企業の多くが失敗していたからだ。それでも、「一度始めたことは最後までやれ」が口癖の殖一氏は初心を貫いた。

 2年がかりで開発し、最初は「キンツルラーメン」という名前で販売した。自社製造の小麦粉「金鶴」にちなんだ名前だったが、67年に親しみがあり、呼びやすいようにと、現在の「金ちゃん」になったらしい。人ではなく、小麦粉由来の名前だったのだ。

 発売当初は児童に配るなどして浸透を図った。テレビCMにも力を入れた。萩本欽一さんや、やすし・きよしさんなど人気お笑いタレントを登場させて親しみやすいイメージで売り込み、即席ラーメン業界に確固たる地位を築いた。

 金ちゃんラーメンの麺は、他社の即席麺と比べ、コシがしっかり。食べ終わる目安である7分を過ぎてものびにくいようにしているという。自社製造の小麦粉の配合は基本的に発売当初から変えていない。

 スープは「和風」と言ってもいいくらいあっさり。しょうゆをベースに豚や魚介類のエキスを加えている。塩は地元の鳴門塩業(徳島県鳴門市)のものを使い続ける。

 新製品が日々生まれる即席ラーメン業界にあって、「創業者のベロメーター(味覚)が開発した味」(田中忠徳社長)を守り続ける。「毎日でも食べたい味、飽きが来ない味」はもはや老舗の味。73年に販売開始したカップ麺「金ちゃんヌードル」とともに、徳島県民のソウルフードとなった。製麺の機械を変えただけでも、「何か変えたか」という電話がかかってくるくらい根強いファンがいる。

つくったものはその日のうちに出荷

 保存食のイメージもある即席麺だが、徳島製粉では鮮度管理にこだわる。前日の注文に応じて生産量を決め、つくったものはその日のうちに出荷するのが鉄則だ。田中社長から「麺の揚げた温かさが残ったまま、店頭に並ぶイメージ」と聞き、またまた驚かされた。

 製品開発を担当する開発部の二宮佳織さんは徳島生まれ、徳島育ち。小学生の頃、土曜の昼は金ちゃんラーメンだった。食べるのを楽しみにしていたという。

 自社を「ひとりひとりのがんばりが大きい会社」と語る。長く愛される味を作り続ける秘訣かなと感じた。(杉田基)

金ちゃんラーメンの調理のコツ

・煮立てる時にかき混ぜすぎない

・仕上げにさっと箸を通してほぐすくらいの方が、麺の食感を堪能できる

・具材はお好みで、ネギやモヤシなどシンプルなものがおすすめ

(徳島製粉開発部の二宮佳織さんより)