的矢かきを海上席で 老舗養殖場が挑戦 三重

臼井昭仁
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 カキの養殖では百年近い歴史を持ち、ブランド「的矢かき」で知られる三重県志摩市の佐藤養殖場。水揚げしたばかりのカキを提供するレストランを今月26日、養殖場内でオープンさせる。昨年、経営を引き継いだ社長が「生き残るためには水産も6次産業化が必要」と新たに挑戦する。

 的矢湾の奥部にある佐藤養殖場。木造2階建ての新築のレストランがある。「的矢かきテラス」。1、2階にそれぞれ外に面したテラス席があり、桟橋でつないだ海上席もある。計120席。新型コロナ対策も考えた、開放性の高い造りになっている。

 佐藤養殖場は1925(大正14)年に故佐藤忠勇氏が創業。いかだにカキをつるして1年ほどで出荷できる効率的な「垂下式養殖方法」を確立。紫外線で殺菌した海水でカキを浄化し、生で食べられる技術も完成させた。今も生のカキのみを出荷している。「的矢かき」のブランドで知られ、県の「三重ブランド」にも認定されている。地元には佐藤氏の銅像も建つ。

 親族らが後を継いだが、近年はカキの大量死に加え、コロナ禍による売り上げ減もあって経営不振に陥っていた。

 昨年、存続を危ぶんだ地元の業者たちからの依頼を受け、浜地大規さん(41)らが旧経営陣に代わって引き継ぐことになった。

 浜地さんは漁船員や仲買などを経て、10年ほど前から的矢湾でカキの養殖を手がけ、年中出荷する実績を持つ。昨年7月に佐藤養殖場の新社長に就任した。

 掲げる再建策は、SNSによる宣伝の強化、規格外のカキを加工品に再利用、海外出荷で、最大の柱はレストランの建設だった。

 債務も残された中での巨額の投資となったが、浜地さんは「産地の美しい海を見ながら食事をしたいという需要は高いと考えており、何よりも歴史とブランド力がある。食を通じて新規の客の開拓につながる」と説明する。的矢湾でカキ養殖をしている業界全体の振興にもなる、と期待している。

 的矢かきテラスの営業時間は午前10時~午後3時。3月末までは無休。岩ガキを出すなどして年中通じての営業を目指す。

 生のカキ5個が1580円、缶で蒸し焼きをする「かんかん焼き」が6個入り1980円、カキご飯は430円などとなっている。問い合わせは、佐藤養殖場(0599・57・2611)へ。(臼井昭仁)