南太平洋のトンガ諸島で15日に発生した海底火山の大規模噴火で、日本列島に押し寄せた謎の「津波」が議論を呼んでいる。ふつうの津波は地震や噴火で海水が大きく動くことで生じるが、今回の潮位変化は「タイプが異なる」と気象庁が発表。専門家は、激しい噴火による空気の振動(空振)が波を起こし、太平洋を横断する間に増幅されたなど、複数の要因が重なった可能性を指摘する。
「噴火に伴う津波とは考えられなかった」。16日未明、急きょ会見した気象庁の担当者はそう説明した。気象庁は当初、トンガと日本の途中にあるサイパンなどで観測された津波が小さかったことから、日本沿岸でも小さいと予想。しかし、15日深夜になって日本沿岸で潮位が大きく変化し、気象庁は日付が変わってから津波警報・注意報を発表することになった。
火山の噴火に伴う津波はこれまでにも大きな被害をもたらしてきた。2018年にはインドネシアで火山島が崩壊して大津波が発生し、沿岸の400人以上が亡くなった。国内でも1792年、長崎・島原半島で眉山が崩壊して有明海に大津波が発生。対岸の熊本などで計約1万5千人が犠牲になった「島原大変肥後迷惑」の例がある。昨年8月の福徳岡ノ場の噴火でも、父島で数センチの潮位の変化が観測されている。
一方、今回、日本沿岸で観測…