子どもに向き合えず、募った無力感 元児相職員「ケアする人をケア」

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聞き手・高室杏子
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 千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さん(当時10)が虐待死した事件から、24日で3年になる。悲劇を繰り返させないための防波堤となるべき児童相談所では、保護する子どもの増加は続く一方で、長時間勤務などで職員の人手不足は解消していない。県内の元児相職員で、現在はケアする側の支援に取り組む飯島章太さん(28)に、現状や必要な施策などを聞いた。

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 ――心愛さんの事件直後の2019年春に、県内児相の一時保護所に配属されたそうですね。

 「心愛さんに似た境遇の子どもたちが多く、『子どもたちのケアを最優先にしなければ』と思っていました。ニュースを見るのもきつかった。親に手をあげられて、苦しさや悲しさを手当てされない、あのような悲しい人生はあってはいけない。虐待が連鎖しているようにも思え、行政や地域にも出来ることがあった。やるせない思いです」

 ――勤務していたころの一時保護所の様子は。

 「事件で社会の関心が高まり、その年の5月に(勤務先の保護所で)一時保護される子どもは前月比で1・5倍になった。児童指導員として、子どもたちの世話のほかにも、過ごし方などを記録する業務もあった。27時間勤務も、廊下での仮眠も普通でした」

 「そんななか洗濯物をたたんでいる時、『あのね』と話しかけてくれた子がいたんです。その子の話を聞き流してしまった。自身を責めました。子どもたち一人ひとりに向き合えず、無力感や悔しさが募って思い詰めてしまった。昨年末に退職しました」

 ――県内の児相職員が精神疾患で長期療養する割合は、全県職員平均の約3倍との調査結果もあります。

 「この3年間をみても、一時保護所の職員の状況は変わってないように思います。行政には人員を増やすこと、廊下で仮眠しなくても済むように環境を整えること、児相職員向けの綿密な研修をして、若い職員が一人でストレスを抱え込まないようにしてほしい」

 ――飯島さん自身も現役職員の支援に取り組んでいるそうですね。

 「19年から児童福祉に関わる人の集まりを運営しています。児童福祉を担う人を後方支援する『ケアする人のケア』をしたいと思い、無償で相談も受けています。かつての自分も話を聞いてくれる相手が欲しかった。相談者には『聞いてくれて楽になった』と言ってもらえ、『感情の吐き出せる場所』になれている実感があります。全ては一時保護される子どものためにつながることです」(聞き手・高室杏子)

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