鏡に込めた意味とは 写真家・堀清英の「RED」展開幕

時津剛
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 雑誌や広告など、多くの著名人のポートレートで知られる写真家・堀清英(58)。その30年に及ぶキャリアを俯瞰(ふかん)する展覧会「RED」が、シャネル・ネクサス・ホール(東京都中央区銀座3の5の3)で開催中だ。1990年代初頭の実験的な作品から新作の「RED」まで、モノクロとカラーおよそ150点を展示。「RED」、「WHITE」、「GRAY」とテーマ別に分けられた空間が、独特の雰囲気を作り出している。

 愛知県出身。91年から米ニューヨークのICP(国際写真センター)で学び、97年の帰国後は、ファッション誌やCDジャケットなど、人物写真を手掛けてきた。その一方で、親交のあったビートニク文化を代表する米詩人・アレン・ギンズバーグの言葉に触発され、東日本大震災後に感じた違和感を可視化した作品「re;HOWL」を発表するなど、自己の内面と対話する作品に取り組んできた。

 新作「RED」には、赤いワンピースをまとい、鏡を手にした女性が登場する。都市や自然の中でたたずむ女性の顔は手鏡で隠され、その表情は読み取れない。「鏡に込めた意味は」との問いに、「見る人それぞれの判断にゆだねたい」と多くを語らない。しかし、「スマートフォンを見つめる電車内の群衆のイメージとも重なる」と明かしたように、自己と自己、自己と他者との関係性を問うていることは確かだろう。それは他者、ひいては自己とも対峙(たいじ)するポートレートを主戦場とする堀にとって、分かちがたいテーマでもある。2月20日まで。(時津剛)