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日本のワクチン接種、足りない「失敗の反省」 3回目に必要なこと

有料会員記事新型コロナウイルスオミクロン株

聞き手 シニアエディター・尾沢智史 大牟田透
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 オミクロン株による第6波の到来で、3回目のワクチン接種が待たれている。だが政府の方針は二転三転、いつ打てるのか、なかなか見えてこない。昨年の1、2回目の接種は結果的にハイペースだったが、問題はなかったのか。「3回目」に向けて、何が必要なのか。

ネガティブ情報という「ワクチン」を 吉川肇子・慶応義塾大教授

 ――第6波のさなか、3回目の接種が本格化します。

 「なんといっても情報公開が重要です。日本では昨年、諸外国を上回るペースでワクチン接種が進みましたが、数だけを見て、ワクチン接種がうまくいったと考えるのは間違いです。リスクコミュニケーションの面では、むしろ失敗続きでした」

 ――どこが失敗でしたか。

 「ワクチンがいつ、どれくらい供給されるか、自治体にさえ明示されませんでした。河野太郎・ワクチン担当大臣は実際の供給量を明かさず、後になってモデルナのワクチンが計画の3分の1しか入っていないことを認めた。明らかにコミュニケーションの失敗といえます」

 「接種の順番も明確ではありませんでした。自治体によって接種券を送る時期が異なり、公平性に欠けていました。職域接種も、途中で休止したことで、早く打てたところとそうでないところで差がついてしまった。接種の必要度ではなく、自治体の事務処理能力や企業の動きによって順番が左右されてしまったことで、国民に不公平感を残したのは大きな失策です」

 ――とはいえ、日本の接種率は8割近くに達しました。その点では成功といえるのでは。

 「結果だけを見て『成功』というのは、反省や次の教訓につながりません。そもそも、日本人のワクチンへの抵抗感は少ないと思います。毎年、インフルエンザのワクチンを打つ人は多いですよね。その点では、コロナのワクチン接種を呼びかけるコミュニケーションはやりやすかったはずです」

 「しかし、国民に呼びかけるときに、相手に対する配慮がなさすぎました。典型は副反応についてのコミュニケーションです。高熱が出ると、一人暮らしの人などはすごく心細いでしょう。それなのに『寝ていれば下がります』ですませてしまった。もっと接種する側の生活や感情に想像力を働かせたコミュニケーションが必要でした」

日本のワクチン接種は失敗続きだったと語る慶応義塾大教授の吉川肇子さん。間違った情報を減らすためネガティブな情報もきちんと出すべきだ、と話します。記事後半では墨田区保健衛生担当次長・岩瀬均さんが見たワクチン接種の現状や、今後の課題について紹介します。

 ――メディアの伝え方はどうだったでしょうか。

 「『接種後、こんな症状が出た人もいる』『こういう訴えが多い』といったネガティブな情報を、メディアがもっと伝えるべきだったと思います。特に心筋炎などの事例は、たとえその時点で、ワクチンとの因果関係が明確でなくても、積極的に伝えたほうがよかったでしょう」

 ――因果関係がはっきりしない情報を広めると、悪い影響が出ませんか。

 「むしろ『情報を隠さずに出…

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