いまこそ歌いたい。ふつふつとわきあがる思いで2月、元宝塚歌劇団トップスター龍(りゅう)真咲(まさき)が1年9カ月ぶりに歌のステージに立つ。チェロとピアノの林姉妹との初共演だ。
龍はキラキラした目線と強烈なアピール力で宝塚の月組を引っ張った。2016年に退団。ミュージカルでマリー・アントワネットなどを演じ、ファッションモデルにも挑戦した。19年に結婚して、いまはモナコと日本を行き来する。
大阪府の箕面市立文化芸能劇場のオープニング公演で去年9月、林はるかのチェロ、妹の林そよかのピアノの演奏を龍が観客として聴いたのが出会い。心を揺さぶられた。「2人でおもしろいトークをされて、楽器を持つと豹変(ひょうへん)する。楽器に魂をこめて演奏する力強さ、それに優しさと気品があって。涙があふれました」
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自ら選んだ生活の変化の上にコロナの日々が続いた。モナコでは友だちや知人がコロナに倒れ、恐怖は身近なものだった。林姉妹の舞台は、気づかないうちに積み重ねてきたストレスから解き放たれた空間だった。「音楽を聴いて、たまっていたものが浄化されたようです」。歌うのは、いまだ。
林姉妹に共演を申し出た。龍は東大阪市出身で、林姉妹は箕面市出身。大阪を地元として活躍する若い星と共演したい、と以前から夢みていた。
林姉妹の演奏の第1部の後、第2部の共演は龍の歌声とチェロ、ピアノの「三重奏」と銘打つ。宝塚時代のナンバーなど5曲と聞けば、どの歌か気になるが……。それは当日のお楽しみ。メッセージのこもる歌を悩みに悩んで厳選した。「どなたが聞いても自分の人生とリンクする歌だと思う。心を解放してもらえる“耳福”になるような表現をしたい」と言葉が弾む。
■初舞台から20周年 自分の…