2022年秋冬のパリ・メンズコレクションが23日まで開催された。新型コロナウイルスの感染拡大が本格化して2年。今回もリアルなショーを開催するブランドと、デジタル動画で発表するブランドが混在した。印象的だったのは、ブランドが自身の歴史を重要視して作った服の数々だ。
ケンゾーのデザイナーに就任したNIGOがデビューコレクションに臨んだ。このブランドを日本人が手がけるのは創業者の故高田賢三さん以来だ。高田さんが愛した花柄にNIGOの解釈を加え、得意のストリートテイストに落とし込むなど、現代の服として成立させていた。ここ数年、ブランドロゴを前面に出した商品が人気だったが、NIGOの手によって一気に洗練された感がある。
一方、ルイ・ヴィトン(LV)は4年前に同ブランド初の黒人デザイナーとして迎え、昨年他界した故ヴァージル・アブローの遺作となるコレクションだった。ストリート文化を高級ブランドに積極的に取り入れ、ビジネス面でも成功を収めたアブローはLVでの仕事に誇りを持っていたはずだ。ブランドロゴのモノグラムを新たな解釈で見せる手法に、その思いが受け取れた。今回もモノグラムをデニムの染めで表現したほか、光沢のあるジャケットにのせた。
ディオールも自らのアーカイ…