カキフライ、検査キットも…コロナ禍で進化する自販機、売り上げ好調

新型コロナウイルス

松尾葉奈、菅野みゆき
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 自動販売機のボタンを押すと出てくるのは、飲料ではなく、カキフライや和牛の赤ワイン煮込み……。街を歩けば、一風変わった自動販売機が続々と登場している。長引くコロナ禍で、非対面・非接触での販売に注目が集まっている。(松尾葉奈、菅野みゆき)

 広島産カキを気軽に味わえるカキフライ自販機は、地元民から観光客まで様々な人が訪れる。カキ養殖会社「ファームスズキ」(広島県大崎上島町)が2017年から開発を進め、昨年1月、広島市中区の名産品店「長崎屋」に1台を設置した。

 同社の代表鈴木隆さん(45)が重視するのは「食べたいなと思ったときにすぐ食べられる」ことだ。カキフライ(4個入り、1200円)は、併設された電子レンジで温め、付属のフォークを使ってその場で食べられる。

 自販機の液晶画面では養殖池や、カキフライを瞬間冷凍する様子を映した動画が流れる。決済は電子マネーで、売り上げが瞬時にわかる。「(自販機は)言ってみれば直売所。養殖場にいながら、販売の仕事もできる」

 自販機では冷凍のカキやエビも販売されているが、一番人気は食べやすいカキフライ。今後は、新たにエビフライやタイのフライも加えて、海外展開も狙う。

「まん延防止でも売り上げ、ありがたい」

 「おしゃれだなあ」「ここ何だろう」。通りかかる人がのぞきこむカラフルな店内には自販機が並ぶ。広島市中区堀川町の「ドクターごはん」は24時間営業で、50種類以上の冷蔵・冷凍食品を自販機で売る専門店。マツタケと瓶詰キャビアのセット(3800円)、和牛の赤ワイン煮込み(1500円)などの高級食材が目を引く。

 料理は医師が監修し、フランス料理店「レストランビー」(広島市中区)が製造する。同店はコロナ禍で売り上げが低迷。「おうちにいながら、レストランの味を食べてほしい」。人件費がかからず、非接触・非対面で販売できる自販機に着目し、昨年10月にオープンした。

 料理長の石田詠司さん(44)は「まん防でも、自販機で売り上げがあるのはありがたい。食べた人がレストランにも来てくれて、宣伝効果もある」と話す。

 商品には「免疫力アップ」「疲労回復」などの効果や効能も表示されている。今後は、離乳食や健康に特化した料理などの自販機を、新たに導入する予定だ。

「自販機で販路が拡大した」

 天満屋福山店(福山市元町)の玄関前には、缶入りのティラミス(大1100円、小980円)などの洋菓子が買える自販機がある。設置したのは、福山市南蔵王町3丁目の洋菓子店「スイーツラボミルク」だ。

 同店では新型コロナ感染拡大の影響で、閉店時刻を2時間早めたところ、顧客から「会社帰りでは間に合わない」という声が上がった。何とか消費者に届ける方法はないかと考えていた時、取引先の容器会社から「プラスチック製の透明缶がある」と声をかけられた。

 飲料のように、缶のプルタブを引き上げて開ける。密閉できて保存が利き、持ち歩きもしやすい。「ケーキの缶詰」を作れば、自販機でも販売できると考えた。昨年9月に天満屋前の自販機で売り始めた。

 人通りの多い場所で、買い物客らの目にとまり、売り切れも出るほどの人気に。12月には山陽道上り線福山サービスエリアにも置いた。経営者の園尾聖さん(41)は「コロナ対策で始めたが、自販機で販路が拡大したと思う。売り上げも好調です」と話す。

「必要な時に手に入れられるように」

 福山市笠岡町の老舗文具店「はぶ文泉堂」の店頭にある自販機では、新型コロナウイルスの抗原検査キット(2500円)や布マスク(500円)が買える。年明けからの感染急拡大でキットが売り切れることもあるという。

 同店は2019年12月に自販機を更新し、上2段に飲料、3段目に文房具を入れた。その後のコロナ禍で、21年6月には、抗原検査キットを加えた。同じころ、社長が知人から使われていなかったたばこの自販機を借り、たばこの箱の大きさに包装した布マスクの販売も始めた。

 検査キットは店頭でも販売するが、「営業時間外に購入したい人や、誰にも知られずに検査したい人もいるかも」と自販機でも売り始めた。

 自販機担当の矢野忍さん(44)は「皆さんが必要な時に手に入れられるようにと考えた。心が沈みがちだが、カラフルなマスクをそろえたので、少しでも気分が明るくなれば」と語る。

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