豪雪の中の托鉢 鈴の音聞きつけた街の人びと、浄財投じて両手合わせ

三浦英之
【動画】冬の風物詩 正法寺の寒行托鉢=三浦英之撮影
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 豪雪岩手県奥州市で、冬の風物詩である正法寺の寒行托鉢(たくはつ)が始まっている。街の人々が鈴の音を聞きつけ、浄財を投じて両手を合わせた。

 正法寺は1348年に開かれた東北地方最初の曹洞宗寺院。「日本一のかやぶき屋根」といわれる国指定重要文化財の法堂が有名で、今も全国から僧が集まり、修行を続けている。

 今年の寒行托鉢は今月5日に始まり、来月3日まで。修行僧3人に近隣の僧侶らが加わり、計7人で大雪の市中心部を練り歩いた。

 気温はマイナス2度。僧侶の海野義範さん(52)は「雪が降っていると、歩いているうちに手足はかじかみ、終わった時には動かなくなる」。お経を唱えながら狭い通りを抜ける度に「チリン、チリン」と鈴が鳴る。その音に誘われるように、民家や商店から市民が顔を出し、黒い鉢にさい銭を入れて、こうべを垂れる。

 同寺の盛田正孝・山主は「浄財を受け取ると、500円玉が温かいときがある。ずっと握りしめて待っていてくれたのだと思うとうれしくなる」。さい銭を投じた60代の女性は「特別なことは何もしていません。ここでは当たり前のことです」と話した。三浦英之