自民の分裂、一変した久留米市長選 広がった「鳩山一強」への反発

高原敦、野上隆生、外尾誠
[PR]

 【福岡】地元選出の自民党衆院議員鳩山二郎氏(43)=二階派=と久留米商工会議所の幹部が有力候補を担ぐ。23日に投開票された久留米市長選は、ここまでは前回と同じ構図だった。違ったのは、鳩山氏の勢力と、麻生太郎元首相らに近い自民党県連会長の原口剣生県議(67)の勢力が激しく争う自民分裂選挙になったことだ。

 昨秋の衆院選福岡6区では、県内11選挙区トップの約70%の得票率で圧勝した鳩山氏。大久保勉市長(60)が初当選した4年前は選対本部長を務めた。大久保氏が今期限りでの退任を表明し、原口新五氏(61)に続いて十中大雅氏(68)が出馬を決めると、十中氏の選対本部長に就いた。陣営は鳩山氏の元秘書ら側近が加わる市議会第2会派が固め、公明党の地域組織の推薦も得た。出だしは盤石に見えた。

 一方、地元の有力政治家一族として知られる原口家の勢力は、猛烈な反撃に出た。市議を約30年務めた新五氏、新五氏の実兄で亡父・久人氏に続き県議を務める剣生氏の元には、兄弟に近い議員らでつくる市議会最大会派の保守系市議や県議が集った。「久留米の『鳩山一強』を防ぎたい保守勢力が中心になっていた」(自民関係者)。

 さらに、剣生氏と近く、鳩山氏との関係が悪化していた旧民主党出身の大久保氏も政策協定を結んで応援マイクを握り、連合系の市議らも新五氏を支援。同日程の市議補選には大久保氏の元秘書で元国民民主党市議の古賀敏久氏(61)が出馬し、原口陣営との共闘で5万票を超す大量得票で当選した。他陣営の幹部は「市長選に候補を立てなかった立憲や社民、共産支持層の票まで原口氏と古賀氏に流れた」と分析する。

 前回も出馬を検討した新五氏に対し、県議会副議長に昨年就任したばかりの十中氏は周囲に口説かれる形での急な出馬だった。支援した市議の一人は「時間がなく、新五氏に比べ市政課題を全部理解できていたとは言い難い」と漏らした。

 さらに、副議長を辞めたことで、県議会は最大会派の自民が主導する形で「非難決議」を可決。県議辞職は12月と遅れた。県連はいずれにも推薦を出さなかったが、陣営幹部は「ゴタゴタが長引いて選挙の態勢づくりが遅れた上に、選挙戦ではネガティブキャンペーンの種にされた」と嘆く。

 鳩山氏が父邦夫氏の急死を受け、自民分裂の衆院補選を勝ち上がった2016年以来続く県連との溝は、今回の市長選にも反映された。十中氏は「政策中心の選挙を望んでいたが、そうはならなかった。『鳩山対原口』の様相が強くなっていった。県連の皆さんはいい知恵を出し、正常な形に戻していただきたい」と語った。(高原敦、野上隆生、外尾誠)

初当選の原口氏「多くの方に喜んでいただいた」

 無所属4氏が争った23日の福岡県久留米市長選は、元自民党市議の原口新五氏(61)が元自民党県議の十中大雅氏(68)との接戦を制して初当選した。一夜明けた24日朝、原口氏は久留米市役所で、市選管の石原廣士委員長から当選証書を受け取った。

 その後に記者団の質問に答え、「10年前から考えてきた政策を実現するときが来た。昨夜から今朝にかけて多くの方に(当選を)喜んでいただいた。これはみなさんの関心、願いの大きさだと思う」と語り、最初に取り組む仕事として、4年連続で浸水被害を受けている豪雨対策を挙げた。

 「貯留施設やため池などのことが分かっている職員、国や県とのつながりをもつ職員、すべてを企画できる職員など各部門から職員を集め、水害対策のプロジェクトチームをつくり、急いで取り組みたい」などと説明した。野上隆生