宮崎市は新市長へ、延岡市は再び現職 それぞれに意欲 選挙から一夜

吉田耕一 浜田綾
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 宮崎市長選と延岡市長選は23日に投開票された。宮崎市は、医師で元県議の新顔、清山知憲氏(40)が、4選を目指した現職の戸敷正氏(69)ら3人を破って初当選。延岡市は、現職の読谷山洋司氏(57)が、前県議の新顔、内田理佐氏(47)=いずれも無所属=を破って再選された。投票率は宮崎が38・76%、延岡が55・98%だった。

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 初当選から一夜明けた24日、清山氏は当選証書を付与された後に記者会見。最優先課題としたコロナ対策の大枠を「ワクチンの3回目接種を加速できるか、PCR検査の市民負担を軽減できるか、市保健所の業務の在り方や職員配置を考えて業務継続を」と示した。

 市政刷新を掲げただけに市役所改革は急ぐ方針。①前例の無いことでも積極的に挑戦②予算主義から成果主義へ③信頼回復――を柱に「綱紀粛正や懲罰、精神論ではなく、人間はミスをする、魔が差すとの前提で不祥事が起きない仕組みを作れないか」と述べた。

 公約した市長給与30%カット(2年間以上)は3月市議会に提案する。「私以外の市職員の給与カットは認めない」と公言した。

 争点となった市役所の建て替えは半年~1年で方向性が見えるという。「事実上、現在地と駅東側の2カ所で再検討。建て替え時期も再確認したい」とした。

 現職が掲げたアリーナ建設構想は公約通り中止。「協議相手の事業者には(選挙で示された)民意として理解してもらい、協議を終了する」と説明した。

 選挙前から現市政の不祥事批判が目立ち、現職陣営は「ネガティブ・キャンペーン(誹謗(ひぼう)中傷戦術)が過ぎる」と指摘していた。これには「中傷ではなく、組織運営を巡る政策論争だ」と反論。「アリーナや市役所移転など、トップの思い付きを押し付けられることほど職員の士気が下がることはない」と切り捨てた。

 勝因は「(現職に敗れた)4年前から市民の意識が変わったこと」と分析。過去3番目に低い投票率についてコロナ下や投票前日の地震、当日の雨を原因に挙げたが「投票していない市民が6割いる点は謙虚に受け止めたい」と話した。

 任期は2月6日から。

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 戸敷氏は23日夜、落選が確実になると、事務所に集まった支持者らに陳謝した。報道陣の取材には「市民が新たな行政を求めた結果だ」と認めた上で、「通常の選挙じゃなかった。後援会を通じて皆さんに訴えることが出来なかった」と敗因を分析。コロナ対策や地震対応などの公務に追われて選挙活動の始動が遅れたり中断したり、1月の屋内集会を全て中止したことなどを列挙した。

 清山氏陣営が繰り返した市の不祥事批判に対しては「事務処理ミスまで『不祥事』にされた。市職員がかわいそうだ。職員への圧力は絶対にやめて欲しい」と強く求めた。政治活動は「もうやりません」。

 山村善教・選対本部長は、コロナ禍による選挙活動の「不完全燃焼」を敗因に挙げた。「出遅れを取り戻せず、いつの間にか選挙が終わっていた」と吐露。清山氏陣営による不祥事批判には「相手が誹謗中傷に終始したため政策論争にならなかったのは残念」と悔やむ。潜在的な多選批判に加え、「戸敷市政で不祥事が多発しているという言われ方をしたのも効いた」と苦々しげに明かした。(吉田耕一)

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 当選確実の報を受け、事務所に駆けつけた読谷山氏は「延岡の長い『しがらみの時代』にようやく終止符が打たれた」と述べ、「草の根市長」としての「公正公平な政治の続行」を強調した。

 初当選した前回選挙に続き、今回も政党や企業団体に推薦願を一切出さず、市民ボランティアが活動を支えた。水道料とごみ袋の値下げ、複数のIT企業誘致の成功といった1期目の実績とともに、「しがらみのない政治の継続」を掲げ、共感を広げていった。

 一夜明けた24日、読谷山氏は市役所で当選証書を受け取った後に記者会見し、「(相手陣営のような)組織戦はもう受け入れられないのではないか。延岡の底力が発揮されたのが昨日の結果だ」と今回の選挙を自ら分析した。

 2期目を前に、「新型コロナ対策などすぐにやらなければならないことが多い」と述べ、経済の底上げ、情報通信技術を駆使した都市部との格差解消などに取り組む意欲を示した。

 議会で3回にわたり事実上否決された地域新電力会社設立については、「可能な限り実現を急ぐ。事業計画に変更はない」とし、状況が整えば3月か6月の定例議会で提案する意向という。

 内田氏は「職員や議員らとの対話が不足し、延岡が孤立している」と現市政を批判し、「協調路線への転換」を掲げた。自民と公明のほか350以上の企業団体から推薦を集めたが、立候補表明から4カ月で浸透させることはできなかった。

 23日夜、事務所に集まった支持者らに、「全ては私の実力不足が原因」と頭を下げ、「これからの延岡を思うと心配も多いが、一市民として今後取り組めることを探していきたい」と語った。(浜田綾)