アイドルライブ中のビル放火に懲役11年「社会への影響軽視できぬ」

吉田博行
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 徳島市で昨年3月、ご当地アイドルグループのライブが開かれていた雑居ビルが放火された事件で、殺人未遂や現住建造物等放火などの罪に問われた無職岡田茂被告(39)に対し、徳島地裁(裁判員裁判)は25日、懲役11年(求刑懲役12年)を言い渡した。

 事件当時、ライブ会場のビル4階に74人がおり、全員が避難して無事だったが、藤原美弥子裁判長は「犯行は極めて危険かつ悪質。社会への影響も軽視できない」と述べた。

 判決によると、岡田被告は昨年3月14日午後1時35分ごろ、徳島市仲之町1丁目のビルに侵入。74人が死亡するかもしれないことを認識しながら、3階エレベーターホールにガソリン約14リットルをまいて火をつけ、約50平方メートルを焼損させた。

 藤原裁判長は判決理由で、被告の動機について、「重大な事件を起こして社会から逸脱し、両親や友人との関係を断ち切って自殺を決意しやすくしたいという思いがあった」と指摘。また、アイドルの事務所から出入り禁止にされ、ライブを中止に追い込もうとした、と述べた。

 岡田被告は公判の被告人質問で、36人が犠牲になった2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件を「参考にした」と説明。また、昨年12月に起きた大阪市北区のクリニック放火殺人事件では、死亡した容疑者の家から徳島のビル放火事件の新聞記事が見つかっている。岡田被告はクリニック放火事件についても「自分が無関係とは思っていない」と述べていた。(吉田博行)