第4回「血が流れすぎた」ミャンマー、SNSが奪う対話 敵味方に市民分断

有料会員記事ミャンマーはいま

ヤンゴン=福山亜希
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 クーデターが起きたミャンマーで、市民を団結させ、国軍の弾圧の実態を世界にさらしたのは、SNSの力だった。SNSに流れる映像が国際社会を動かし、国軍への圧力は高まった。

 だがSNSが追い詰めたのは、国軍だけではなかった。

 「諸般の事情により、ニュースの配信を停止させていただきます」

 第2の都市マンダレーに本部を置く現地メディア「ボイス・オブ・ミャンマー」(VOM)は昨年12月23日、今年の元旦からニュース配信をやめるとフェイスブックを通じて発表した。

 すると、「いいね」や笑顔マークが約2千も押された。「早くやめるのが国のためだ」。寄せられたコメントの約9割が、配信停止を歓迎する内容だった。VOMを「国軍寄り」とみなした人たちによるコメントだった。

 VOMはフェイスブックのフォロワーが100万人を超すメディアだった。元BBCビルマ語放送の記者ネイミョーリンさん(46)が退職金など5千万チャット(約320万円)をつぎ込み、2018年に創設した。

 ネイミョーリンさんが記者活動を始めたのはかつての軍政時代の07年。当時の民主化デモをボランティアの市民記者として取材し、外国の通信社に記事や写真を送った。取材する醍醐(だいご)味を知って記者を志し、08年に地元ラジオ局に採用された。

 ただ、記者活動は平坦(へいたん)ではなかった。07年のデモ取材以来、当局ににらまれていた。08年9月から13年まではインドに逃れて取材を続けた。BBCビルマ語放送に転職した後も16年と20年の2度にわたり少数民族武装勢力の取材などで拘束され、計約100日間、刑務所に収容された。

 昨年2月のクーデター後、国軍はメディアへの弾圧を強めている。だがネイミョーリンさんは言い切る。「以前は国軍だけを気にしておけばよかった。今、記者の仕事は以前より格段に難しくなった」

市民の意見は「国軍の味方か敵か」といった基準で判断され、市民同士の糾弾が止みません。記事後半で、かつての民主派の指導者が登場。「逮捕された方がどれだけ楽か」と語る、その真意とは――。

 クーデター直後、国軍が首都…

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