中学入試で最頻出、「雑草魂のウソ」とは 雑草研究者が語る真の戦略

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聞き手・黒田壮吉
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 雑草の研究者が執筆した本が中学入試で頻出となっている。進学塾大手の日能研によると、「国私立中学入試の国語で最もよく出題された作者」で3年連続1位。『はずれ者が進化をつくる』『雑草の成功戦略』といったタイトルの著作には人間の世界にも通じるテーマが満載だ。執筆した静岡大の稲垣栄洋教授(雑草生態学)に話を聞いた。

いながき・ひでひろ 1968年、静岡市生まれ。岡山大学大学院農学研究科修了。農学博士、専門は雑草生態学。農林水産省静岡県農林技術研究所上席研究員などを経て、2013年から静岡大学教授。

 ――雑草生態学とはどんな学問ですか?

 「雑草とは『望まれないところに生える植物』と定義され、国内では500種類ほどがいます。例えば公園や緑地管理、農業をする上で、雑草を防除することが重要です。除草剤などを含め雑草を防除する方法を開発したり、防除のために雑草の特徴を明らかにしたりするのが「雑草学」です。変わった学問って思われるかもしれないが、私だけが研究しているわけじゃなく、全国で何千人が研究しているような学問です」

 ――なぜ雑草に興味を?

 「大学4年のとき、農作物の研究をする作物学を専攻しており、畳の原料となるイグサを育てていました。そのとき、隣に見慣れない草が生えてきて、指導教官に聞くと、『花が咲けば図鑑で調べられるから、咲くまで置いておきなさい』と言われ、そのまま置いておきました。作物はどう育つかは図鑑にある程度書いていますが、雑草は周囲の環境に合わせて成長の仕方を変えてしまう。毎日見ているうちに雑草に興味を持ち始め、大学院は雑草学の研究室に進みました」

実は弱い雑草、弱さゆえのしたたかな戦略

 ――雑草のどういう点が魅力なのでしょうか。

 「雑草はみなさん強いと思っているかもしれませんが、実はとても弱い。雑草にとって重要なことは花を咲かせ、種を残すことです。ただ、弱肉強食の自然界のなかで競争に弱いことは致命的です。隣の植物より高く大きく育ち、日光を独占した方が勝ちというのが植物の競争のひとつですが、雑草はそんなところで勝負をしてもしょうがない。弱いからこそ、逆境を乗り越えられるように、したたかな戦略を立てて生きています」

 ――雑草は弱いんですか。意外です。

記事の後半では、弱い雑草が勝負するためにとった、合理的な生存戦略を紹介します。中学入試に紹介される理由の一端が見えてきます。

 生物の環境は厳しく、「ナン…

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