王子のブルーダイヤ盗難から30余年 タイとサウジ、関係修復なるか

バンコク=翁長忠雄
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 タイのプラユット首相は25、26日にサウジアラビアを訪問する。サウジの宮殿で使用人だったタイ人が50カラットのブルーダイヤモンドなどの宝石類を盗み出した事件をきっかけに、両国関係は30年余にわたり冷え込んでいた。タイ側は関係改善に期待を寄せている。

 英字紙バンコク・ポストなどによると、事件は1989年に起きた。当時のファイサル王子の宮殿からの使用人のタイ人が宝石類を盗み出した。被害総額は約2千万ドル(約22億7千万円)。「ブルーダイヤモンド事件」と呼ばれる。

 タイ警察は90年に使用人を逮捕。宝石類をほとんど回収したとしてサウジに返却したが、サウジ当局は「返却品のほとんどは偽物だ」と抗議した。

 さらに事件後、サウジが事件の調査のためにタイに派遣した実業家が行方不明となったり、サウジ外交官3人がバンコクで殺害されたりした。サウジは在タイ大使を本国に戻し、タイ人の就労ビザも停止されるなど、両国関係は悪化した。

 両国は2016年ごろから関係改善を模索。19年にはプラユット氏とムハンマド皇太子がG20が開かれた大阪で会談したり、20年にはタイ外相がサウジを訪問したりしていた。今回のプラユット氏のサウジ訪問はムハンマド氏の招待を受けたという。

 事件で逮捕された男性は90年に禁錮5年の判決を受け、2016年に出家した。ブルーダイヤモンドはいまも見つかっていない。(バンコク=翁長忠雄)