直木賞受賞によせて 米澤穂信さん寄稿 「米澤穂信は二人いる」

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 米澤穂信は二人いる。読者の方を向いている私と、読者を忘れている私だ。

 前者は読者の方だけでなく、出版という事業にも向き合っている。小説を書くことは自由な行為だが、現代において校正の行き届いた本を全国に広くお届けするためには、出版社と仕事をご一緒することになる。

 出版の結果が黒字なら、次も書ける。だが何作も赤字が続けば、出版社は私と仕事が続けられなくなる。小説を書くことは自由でも、出版は商売なのだ――赤字の商売は続けられない。身に染みて知っていることだ。

 そこで私は、必要とあらば告…

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