「あはは」「暗示をかけた」 羽生結弦を羽ばたかせた大人の接し方

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 日本では若者の自己肯定感の低さが問題になっている。

 2019年に内閣府が公表した先進7カ国の若者へのアンケート結果では「自分自身に満足しているか」という質問に対し、「そう思う」と答えた割合が日本では10.4%と断トツで低い数字。最も高かった米国の57.9%とは大きな差があった。他国と比べて、自分の将来に明るい希望を持っていない傾向もあった。

 一方で、北京オリンピック(五輪)で3連覇がかかるフィギュアスケート羽生結弦は子どもの頃から、自信や意欲に満ちあふれていた。

 18年平昌五輪後の記者会見で羽生はこう語った。

 「自分が持っている夢ってわりと形がしっかりしていて、それはたぶん昔の自分なんですよ」

 「ちっちゃい頃に『これやりたい』『これで強くなりたい』『これで一番上に立ちたい』『こういう人になりたい』と憧れていて、それを信じ切っていた自分が今もずっと心の中に残っていて、心の中で『絶対、やってやるんだ』って言っている昔の自分が、僕の夢の原動力になっている」

 羽生を小学2年生から高校1年生まで指導した都築章一郎さんは「『五輪に出てチャンピオンになろうね』と投げかけたとき、どんな指導をしたら夢をかなえるスケーターになれるかと最初に考えました」と明かす。また、「まずは技術を習得することで、楽しみ、おもしろさに気づかせ、そして、将来どんな形で自分を表現できる機会があるか、暗示をかけながら成長させた気がします」と振り返る。

 羽生がフィギュアスケートを始めた4歳から小学2年生まで教えた山田真実さんは、表現力が豊かであるがゆえ、頭を振りすぎる羽生に「やりすぎだからやめなさい。お母さんからも言ってください」と言ったところ、羽生の母は「あはは」と笑って見守っていたという。

 幼少期は落ち着きがなく、集中力も続かなかったため、「基礎練習を徹底できなかった。結弦、大変って思っていた」と山田さんは笑うが、親や指導者に強要されずに育ったことが羽生が大きく羽ばたくうえで「逆に良かったのかなって」と話す。

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