「アマ」商店街の救世主 眠りから覚めた怪獣がシャッターを開けた

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神田明美
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「まだまだ勝手に関西遺産

 にぎやかな商店街から少し外れると、薄暗いアーケード街が見えてきた。ほとんどの店のシャッターが下り、店の明かりは点々と。

 阪神尼崎駅(兵庫県尼崎市)から西へ歩いて10分ほどにある「三和市場」。終戦から間もないころ、食品を扱う店が集まってできた。最盛期は150メートルの通りに54軒の店があったが、今も開けているのは漬物屋や肉屋、魚屋など8軒だけだ。

 そんな寂れたアーケード街で、ある日のこと――。

 シャッターが下りたままだった魚屋から、見たこともない怪獣が現れた。マグロと思われて冷凍庫で長い間眠っていたのは、太古の怪獣だった。何かの拍子に目を覚まし、自らシャッターを開けた。ガシャーン!

「怪獣はウケる」 そして生まれたガサキング

 それが怪獣「ガサキング」。三和市場のご当地キャラが生まれたストーリーだ。

 仕掛け人は市場の副理事長で精肉店「マルサ商店」を営業する森谷寿さん(68)。「終戦後にオヤジが店を始めた時は、モノも無いし、食べ物も無くて、やっと商品を集めて売った。それで育ててもらった」

 育った自宅は、両親が切り盛りした精肉店の2階。冷蔵庫が身近ではない時代、近所の人が毎日の食材を買いに来た。車が普及すると、近隣の市から常連客が通った。「買い物客であふれて、品物をのせた荷台を運ぼうとしても前に進めなかった」

 潮目が変わったのは1995年の阪神大震災だ。「車で通った人の足が遠のいた」。人の流れが変わり、次々と店が移転していった。

 一つでもシャッターを開けたい。10年近く前、空き店舗の一つをイベントスペースにして、大好きな怪獣のトークイベントを開いた。大勢がやってきて、「怪獣はウケる」と定期的なイベントになった。「市場がなにかバカなことをやっているな」と思われる盛り上がりを作りたかった。

 ゴジラ映画の怪獣デザインも…

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