4兆円過大、正面から答えなかった首相「数字は控えたい」 統計不正

岡戸佑樹、磯部佳孝
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 国土交通省による統計不正問題で、二重計上によって2020年度の統計が約4兆円過大になっていた疑いがあると朝日新聞が報じたことについて、岸田文雄首相は25日の衆院予算委員会で、「数字について申し上げることは控えたい」と答弁した。20年1月以降の統計は「修正済み」としてきた答弁の撤回を求められても応じないなど、質問に正面から向き合わない答弁を繰り返している。

 朝日新聞は25日、国交省の職員が受注実績を無断で書き換えて二重計上していたことで20年度の統計が約4兆円過大になっていた疑いがあると報じた。朝日新聞が複数の専門家の助言を受けて試算した。

 予算委で立憲民主党の階(しな)猛氏はこの報道を取り上げ、「受注額全体の5%ぐらいも上振れしている。統計の信用性に大きな影響を与える」とした上で、「これほど数字で違いが出ると、予算の収入に関する算定根拠であるGDP(国内総生産)に影響が大いに及んでいる可能性がある」と指摘。GDPの再算定が必要だとして、首相に答弁を求めた。

答弁撤回拒否、野党「岸田総理らしくない」

 これに対し、首相は「推計方法が明らかではない」として、「その数字について直接申し上げることは控えたい」と答弁。国交省が立ち上げた統計の専門家による検討委員会を持ち出し、「過去の数字がどうだったか、復元を行った上で説明することが重要。作業を急がせたい」と強調した。

 20年1月に統計の「修正を行った」とした先月の臨時国会での答弁については、首相は強気な姿勢を見せた。この答弁をめぐっては、20年1月以降も複数の自治体が二重計上していたことが判明しており、階氏は答弁の撤回を要求。これに対し、首相は「(答弁の後)さらなる不適切な処理がされていたことが明らかになった」などと拒否し、斉藤鉄夫・国土交通相も「総理の答弁が誤っていたということはない」とかばった。

 野党がこの答弁にこだわるのは、首相が臨時国会の際、統計が「修正済み」だとして補正予算案の審議を求めたからだ。24日の予算委では、立憲の大串博志氏がこの経緯に触れ、「総理が正しいと言ったが、正しい数字ではなかった」と批判。答弁を撤回しない首相をこう皮肉った。「岸田総理らしくない答弁。誤っていたことを総理自身が認めないと、政府全体に影響が及ぶ」(岡戸佑樹、磯部佳孝)