春のらんまん描く傑作 その背景には息子を亡くした父らの慟哭

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権敬淑
写真・図版
国宝「桜図」(1592年、長谷川久蔵作、智積院提供)
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智積院の桜図

 真言宗智山(ちさん)派総本山の智積院(ちしゃくいん)(京都市東山区)には、華麗な桃山文化を伝える長谷川等伯(とうはく)一派の障壁画があります。1592年作とされる国宝「桜図」は、桜の障壁画の最高傑作とも言われています。等伯の息子、久蔵(きゅうぞう)25歳の作です。

 タテ約1・8メートル、ヨコは4面で計約5・6メートル。太い幹から左右に枝をのばす八重桜が主役です。春風にたなびく金雲の切れ間から見える花が、満開のイメージを膨らませてくれます。群青の池、足元の野の花と相まって、すがすがしい春らんまんの風景です。

 花は貝殻を使った白い顔料で…

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