男子テニスのノバク・ジョコビッチ選手(セルビア)がオーストラリアから国外退去処分となり、3連覇中だった全豪オープンへの出場を断念したことは、新型コロナウイルスワクチンの未接種者が不利益を被る時代であることを如実に示した。
市民の自由をとりわけ重んじてきたはずの欧米では、新型コロナのワクチン未接種者の権利を制限する国が相次いでいる。職業や移動の自由を限定し、義務づけた国では罰金を科す。ただ、未接種者をどう特定し、権利を制約するに足る効果があるのかといった問題は残されたままだ。
「ワクチン義務化にノン(反対)」
欧州連合(EU)本部があるブリュッセルで23日、そう書かれた看板を掲げた人たちが「自由を」と気勢を上げた。フランスやドイツの国旗を手にした人もいた。仏紙ルモンドによると、欧州各国から自国の感染対策に不満を持つ5万人以上が結集。一部は暴徒化し、欧州対外活動庁(EU外務省)のドアガラスを破壊した。
欧州では、健康上の理由がある場合などをのぞき、ワクチンを義務化しようとする動きが相次ぐ。
オーストリアでは20日、EUで初めて幅広く成人(18歳以上)に義務づける法律が成立した。3月半ば以降、公共交通機関などでの点検で未接種と判明した場合、600ユーロ(約7万7千円)の罰金。督促を受けても接種しなければ、最高で3600ユーロ(約46万円)の罰金が科される。違反しても身柄は拘束されない。
50歳以上に義務化したイタリアでは2月から100ユーロ(約1万2千800円)、60歳以上が対象のギリシャでは毎月100ユーロにのぼる。
「取引先には接種したとウソを」
未接種者に対する権利の制限を強化したのがフランスだ。24日、飲食店や長距離列車などの利用を接種者に限る法律が施行された。
15日にパリでデモに加わった仏中部シャルトル近郊に住むノエル・シャロンさん(54)は、病院の事務職員の仕事を失った。昨年9月、医療関係者への接種が義務づけられたためだ。
これまでBCGなどは接種してきたが、新型コロナのワクチンは副作用が不安で見送った。
夫とは死別し、子どもと3人…
【提案】ワクチン義務化などコロナ禍での行動規制をめぐり、各国の裁判所が果たしている役割に注目してみたいと思います。 この記事にあるように、米国の連邦最高裁は従業員100人以上の企業への接種義務化については認めないと判断しています。 他方、ドイツ

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