新型コロナウイルスのオミクロン株が猛威をふるうなか、これまでにない規模で学校や保育園などの休校、休園が相次いでいます。幼い子どものために仕事を休まざるを得ないとき、深刻なのは家計への影響です。そんなときのサポートのため、国が準備したはずの助成金制度が「使いづらい」との声が上がっています。何が問題なのでしょうか。実際に申請を試みた保護者に聞きました。
有給は「あと3日」 募る不安
24日に厚生労働省が公表した最新(20日時点)の認可保育所などの休園数は327カ所となり、昨秋の第5波を超え、コロナ禍で過去最多を更新した。
「有給は今年度、あと3日しかない。不安で仕方ありません……」
こう話すのは、東北地方のアパレル企業で正社員として働く40代の女性だ。産前から働く企業で、保育園から小学生までの3人の子どもを育てながら、時短勤務をしている。
昨年秋、子の1人が新型コロナウイルスに感染したことをきっかけに、もうひとりの子ども、夫、自身と、次々に感染した。自身の隔離期間が終了しても、感染しなかったきょうだいが濃厚接触者として14日間の自宅待機を求められる期間があったため、最初の子どもの感染発覚からほぼ1カ月間、仕事に出られない日々が続いた。
そんなとき、政府がコロナ対策として打ち出している「小学校休業等対応助成金」の存在を知った。コロナを理由とした臨時休校・休園や、子の感染、または感染の疑いがある場合の看病などで保護者が仕事を休まざるを得なくなった場合、通常の有給とは別の「特別休暇」を付与する事業者に、助成が行われる。時期によって1万1千円などの上限はあるが、賃金相当額の100%を補償してくれるという。
2020年春の全国一斉休校の際に創設され、一度は終了したが、感染状況が悪化した21年9月から申請受け付けを再開した。現在、対象期間は21年8月~22年3月末となっている。
会社の担当者「前例がない」 「不公平」
会社側に金銭的な負担もないため、女性は勤務先に制度を利用してほしいとかけあった。しかし、担当者は「前例がない」「子どものために休むのは、自己都合で欠勤扱いになる」「子どものいない従業員もいるので、不公平になる」などと譲らなかった。
結局、女性自身がコロナウイルスに感染した期間だけは、「会社が自宅待機を命じた」として給与の6割を支給する休業補償を認めたものの、あとは「無給」との判断だった。
このため、普段は月に13万~14万あった手取りが、この月は2千円台まで激減。一方、給食費や保育料の請求は通常通り行われた。「ただただ不安で、貯金を切り崩すしかなかった」
期待の「個人申請」にも、企業の同意が必須
さらに調べると、制度には…

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