一度入ったら閉幕まで帰れません 外部と隔絶、北京五輪のバブルとは

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北京=井上亮
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 北京冬季五輪が2月4日に開幕する。昨夏の東京五輪と同じく、新型コロナウイルスの感染を防ぐため、選手団や大会関係者などを「バブル」の中に隔離しながらの大会となる。大会を取材する朝日新聞記者が1月23日、バブルの中へと足を踏み入れた。

「無事にバブルに入れるだろうか」

 開会式が開かれる国家体育場(通称・鳥の巣)から南に約3キロ。私は「北京福建ホテル」のゲートの前に立っていた。

 爽やかな青色のゲートには、でかでかと中国語で「酒店出入口」。その下にはこう書かれてあった。

 「このホテルはバブル管理下にあります」

 ここから先は五輪のバブル、つまり外部との接触が切り離された空間となる。

 上海に駐在する私が、五輪取材のために北京入りしたのは16日。上海でも変異株「オミクロン株」の感染者が確認されていた。そのため、出入りの管理が厳しい北京市に入れなくなるのを恐れ、早めに移動することにしたのだ。

 その後は北京市内でも感染者が確認され、バブルの外でもピリピリしたムードは日増しに高まっていた。

 「無事にバブルの中に入れるだろうか」

 ホテルに向かうタクシーの中で、胸の鼓動が高まるのを感じた。

 ホテルのゲート前で、タクシーから降りると守衛に「宿泊者か」と聞かれた。

 PCR検査の陰性証明とワクチンの接種証明をスマホで提示すると、守衛は自分のスマホで撮影し、中国のSNS「微信」のアプリを使って誰かに送っていた。五輪の取材許可証も見せて、ようやくゲートを開いてくれた。

目の前にあるスーパーにも…

 大小のスーツケースふたつと段ボールなどを抱え、ゲートを越えた。

 振り返ると道路の反対側にあるスーパーや重慶料理店が見えた。目の前にあるのに、あと取材を終えるまで1カ月以上は行くことができない。日常の暮らしから切り離されるかと思うと気がめいるが、覚悟を決めた。

 バブルの中のホテルに入った。ロビーや部屋は清潔で明るい雰囲気だ。従業員や清掃員は防護服ではなくて制服姿。医療用マスクとフェースシールド、ゴム手袋を身につけていた。

 五輪を取材するメディアは毎日、PCR検査を受ける必要がある。ホテルにも検査会場があり、到着した日の夜にも検査を受けた。

 開幕までまだ10日以上あるためか、宿泊客は10人弱しかいないようだった。

 ただ、ここに泊まっているのはメディア関係者だけではなかった。20代の男性従業員に聞くと、「ホテルで働く私たちも五輪が終わるまで全員泊まります」と言う。PCR検査をしてくれた看護師は、「五輪が終わってもすぐには帰れない。計3週間の隔離があるのよ」とも教えてくれた。

 バブルに一度入ったら、自宅に帰ることは許されない。東京五輪でも同じようなバブル方式が採用された。だが、東京では取材記者は公共交通機関を使うことができ、自宅に帰ることもできた。それに比べると、北京の運用は格段に厳しい。

エレベーターのドアが開くと板が

 ホテルまで食事の出前を頼む…

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