郵便局長データ流用、個人情報保護委は「状況注視」 有識者と温度差

中島嘉克、藤田知也
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 郵便局長らが1300人超の顧客情報を政治流用していた問題を受け、専門家から、国の個人情報保護委員会や総務省にも対応を求める声がでている。保護委と総務省は、日本郵便の自主的な改善を見守る姿勢を示しており、同社による自主調査が不十分と指摘している有識者との間に温度差が生じている。

 日本郵便は今月21日に、局長104人が顧客1318人分の個人情報を、全国郵便局長会の政治活動に流用していたとする自主調査の結果を公表。その上で、「局長向けの個人情報保護の研修」などを再発防止策に掲げ、「これ以上は調査しない」(広報担当者)としていた。調査結果は保護委などに報告したという。

 だが、調査は局長の自己申告に基づくもので、朝日新聞の取材では、「情報流用があった」と答えた局長に担当者が連絡し、回答を修正させた例もあった。調査結果の公表資料では、再発防止策の前提となる不正の原因も示されていない。日本郵便は、情報流用を促すような指示が複数の地方郵便局長会で出ていたことは把握したとしつつも、指示の状況は詳しく調べていない。

 25日の総務省の有識者会議では、調査結果に「国民目線で納得できない」といった批判が続出。出席者の一人は「原因にメスが入らないと、また起きると多くの人が考える」と指摘。別の出席者は「これで調査が終われば、事業者の自主性を尊重できる段階になくなる」などとして、保護委や総務省にも厳しい監督を求めていた。

 朝日新聞が26日、保護委と総務省の担当者に取材すると、日本郵便からの報告内容を精査しつつ、再発防止策の実施状況を注視していくなどと説明した。保護委の担当者は、調査や再発防止策が十分かどうかは「まだ評価できない」としており、保護委や総務省の今後の対応も焦点の一つになる。(中島嘉克、藤田知也)

日本郵便の自主調査への疑問点は……

●流用件数は局長の自己申告のみ。アンケートに「正直に答えなかった」との局長証言や、「流用した」と申告した局長がコンプラ担当者からの連絡後に「なかった」と修正した例も

●不正横行の原因が示されていない

●郵便局長会で情報流用を促す指示があったと確認しながら、詳しく調べていない