交通死亡事故で無罪判決 「捜査機関の失策」と指摘 福岡地裁

布田一樹
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 福岡県大牟田市で2013年、軽ワゴン車を運転中に原付きバイクと接触してバイクの男性を死亡させたとして、自動車運転過失致死罪に問われた愛知県の会社員男性(32)に対し、福岡地裁(加藤貴裁判官)は26日、「犯人性を認めるには合理的な疑いが残る」として無罪(求刑禁錮1年8カ月)を言い渡した。

 被告の男性は13年10月25日、大牟田市吉野の市道で、新聞配達員の男性(当時48)のバイクを追い越す際に、対向車との衝突を避けようとしてバイクの前かごに接触、配達員を対向車と衝突させて死亡させたとして、19年9月に福岡地検に在宅起訴された。同地検大牟田支部が15年3月に男性を不起訴としたが、柳川検察審査会の不起訴不当の議決を受けて福岡地検が再捜査していた。

 検察側は、車とバイクの双方の傷の鑑定結果などから、2台が接触したと主張。被告側は「身に覚えがない」として、無罪を主張していた。

 加藤裁判官は、バイクは広く使われている車種で、車の傷は事故とは別の機会に生じた可能性もあると指摘。「犯人性を積極推認させるものではない」とした。

 また、現場付近の防犯カメラに事故直前の車が映っていた、との検察側の主張については、警察官が映像の一部を写真撮影しただけで映像自体は残っておらず、この警察官の供述も「たやすく信用することはできず、事実を認めることはできない」とした。その上で「重要な証拠資料となることは想定できたはずだ。記録媒体を即座に用意するなどして映像を収集、保全しないまま、漫然と時間の経過により消失させてしまったことは、捜査機関の失策というほかない」と指摘した。

 同地検は「判決内容を精査し、上級庁と協議のうえ、適切に対応する」とコメントした。(布田一樹)