開業から43年、北総鉄道やっと運賃値下げ 通学定期代64.7%減

有料会員記事

三嶋伸一
[PR]

 千葉県内の都市鉄道で最も運賃が高かった北総鉄道が10月、値下げに踏み切る。高額運賃は沿線人口が伸び悩み、巨額の建設債務の返済に苦しんだ結果。その後、県や親会社の京成電鉄などの支援や旅客増などで累積赤字解消にめどがつき、開業から43年で実現した。ただ、同様に高額運賃の東葉高速鉄道は今も債務返済に苦しむ。(三嶋伸一)

中距離中心に最大100円

 値下げ率は、通学定期で64・7%、通勤定期で13・8%、普通運賃で11・6%となる。通学定期は利用者の多い印西牧の原―京成高砂間(6カ月)で5万4千円安い2万6950円と、京成電鉄と同水準になる。

 通勤定期も新鎌ケ谷―京成高砂間(同)が、約2万5千円下がって10万8870円に。普通運賃では、割高感があった中距離帯を中心に最大100円下げる。距離による運賃カーブでみると、特に中距離帯での膨らみがへこみ、京成などと同様のカーブになる。ただ、値下げ後もなお京成の倍近い運賃がある。開業が北総より後のつくばエクスプレスと比べても高い。

 北総鉄道は千葉ニュータウンの都心への足だった。しかし、バブル崩壊などでニュータウン人口は当初計画の34万人に対し、現在約10万5千人にとどまり、利用客が低迷した。

建設費1298億円、北総鉄道だけで返済 TXでは?

 さらに影響したのが、建設に国の「P線方式」を採用したことだ。県などによると、鉄道・運輸機構による建設費1298億円を北総鉄道だけで返済する。1993年度の返済額は利息込みで約100億円と、当時の売上高約67億円を超えた。開業6年で返済できなくなり、4次に渡って計350億円の外部支援を受けた。

 これに対し、つくばエクスプレスは鉄道建設と沿線開発を一体で進める新方式「宅鉄法」だった。沿線自治体が開発用地と同時に鉄道用地を先行取得でき、鉄道の負担が減った。県は「P線方式は鉄道をひけば乗客が増える経済成長期ならではの手法だった」(担当者)と話す。県は国に債務縮減を求めているが、国は「一民間事業者への助成はできない」とする。

東葉高速鉄道 苦境抜け出せず

 北総鉄道の値下げ後は、東葉高速鉄道が県内の都市鉄道で最も高額な運賃となる。同鉄道もP線方式で建設され、負債は2948億円と北総の倍以上。開業した1996年度の下期から返済できず、県や沿線2市、東京メトロから2回に渡り計520億円の出資を受けた。返済期限も施設の耐用年数ぎりぎりの2061年度まで延ばした。

 返済は02年度から始まり、10年度には単年度黒字に転じたが、新型コロナで20年度黒字幅が激減。県や国による「東葉高速自立支援委員会」は昨年11月、運輸収入が戻らなければ最悪、28年度に資金ショートする可能性を指摘している。

通学定期を大幅値下げ、子育て家族を沿線に

 北総鉄道の室谷正裕社長に値下げの背景や狙いなどを聞いた。

 ――なぜ値下げができたのか。

 「鉄道・運輸機構による巨額…

この記事は有料会員記事です。残り546文字有料会員になると続きをお読みいただけます。