青森県内初の「まん防」 地元飲食店の受け止めは?

古庄暢 横山蔵利
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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「まん延防止等重点措置」が適用され、飲食店の営業規制が27日から青森県弘前市で始まる。街の光景は変わるのか、店主らはどう受け止めているのか。25日夜の繁華街を歩いた。

「協力金支給早く」 酒屋「支援広げて」

 市中心部の弘前公園から5分。バーやスナックが立ち並ぶ鍛冶町地区では、午後5時を過ぎると店先のネオンに少しずつ明かりがともる。ただ行き交う人の姿はまばらだった。

 居酒屋など11店舗が軒を連ねる飲み屋街「城東閣」。運営会社の藤田あつ志専務は「協力金はテナントの支えになる」と歓迎する。11店舗のうち、若者の利用が多いバーなど2店舗は今月中旬からすでに休業しているという。時間短縮営業や酒類の提供制限に協力すれば、1日2・5万~20万円の協力金が支払われる。「協力金の支給が遅くなるほど店は経営が苦しくなる。なるだけ早い支給をお願いしたい」

 60年以上、親子2代ですし店を経営する原田享(あきら)さん(51)も「協力金はありがたい」と話す。コロナ禍の前と比べ、店の客入りは3~4割程度。オミクロン株の感染が拡大したここ1~2週間は「夜は多くても3~4組。来店や出前の予約も20件近くキャンセルになった」という。

 市内の飲食店に協力金が支給されるのは、一昨年10月に飲食店クラスターが発生し、市独自に休業要請して以来になる。今回は飲食店クラスターは確認されていないが、市は感染拡大を防ぐため、重点措置の適用に踏み切った。

 原田さんの店は県の認証店ではなく、酒類の提供は禁止。売り上げがさらに落ち込むことが懸念される。原田さんは「協力金だけでは不安はぬぐえない。今のお客は市外や県外が多く、地元の人ほど自粛している印象。市は、地域の活気を取り戻す対策をいまから考えて欲しい」と話す。

 一方、協力金の対象にならない事業者は困惑する。地区の飲食店にお酒を卸している酒屋の男性(69)は「規制が続けば、仕事がなくなるかもしれない」と嘆く。感染が急拡大してから飲食店での需要は落ち込んでいて、配達が数件しかない日もあるという。「酒屋や肉屋、八百屋など繁華街はそれぞれ支えがあって成り立っている。支援の幅を広げて欲しい」(古庄暢)

県・市の規制対応「遅かった」不満も

 飲食店の規制について、県や市の対応が遅かったのではないか、そもそも飲食店だけで十分なのかという疑問の声もある。

 鍛冶町地区の居酒屋の従業員(48)は「1週間以上も前から夜はお客が数人という日が続いている。感染状況を見れば、もう少し早く判断できたのではないか」と不満を漏らす。弘前保健所管内では12日以降、感染者が増え始め、22日には176人を記録した。

 当初は10~20代の若者が7~8割を占めた。弘前市の桜田宏市長は18日、小中学校の部活動中止など対策を打ち出したが、すでに感染者の家族や知人など幅広い世代へ2次感染、3次感染が始まっていた。

 重点措置の適用申請も感染拡大から10日以上過ぎてからになったことについて、桜田市長は24日、「県から情報提供を受け、感染状況を見て対応を考えた」と説明した。三村申吾知事も25日、市内の医療状況は「しっかりとできている」として、対応に遅れはないという認識を示している。

 ただ、感染する世代が広がったことで、医療機関では医師や看護師が感染した家族の濃厚接触者になり、出勤できないケースが出てきている。市内の健生病院では今月中旬から濃厚接触者が増え、26日現在、日中勤務の職員の1割にあたる30人ほどが休職しているという。泉谷雅人事務局長は「手術や診察などに影響はないが、職員の負担は増している」と話す。

 弘前大医学部付属病院でも看護師ら10人ほどが感染した子どもの濃厚接触者となり、休職しているという。担当者は「医療に影響はないが、できる限り早く感染が収まって欲しい」と話す。

八戸の店 青息吐息 キャンセル続出「もう限界」

 繁華街がひっそりとしているのは、規制対象となった弘前市だけではない。新規感染者数が20人以下にとどまっている八戸市でも、県全体で急増したことから飲食店に余波が及び、打撃を受けている。

 「県内の感染者数が100という数字になった瞬間、電話を取ればキャンセルばっかりだ」。市中心街で長く飲食店を続ける60代の店主は肩を落とす。

 県は昨年9月、八戸市中心街の飲食店に対し営業時間の短縮を要請した。当時、飲食店は大きなダメージを受けたが、感染者の減少とともに客足は戻り、11月、12月と明るい兆しが見え始めたところだった。「期待していただけにがっかりだ。『もう、限界。辞める』という仲間もいる」

 中心街から少し離れた小さな飲食店では、1日数人の日も少なくない。切り盛りする50代の女性は「弘前も気の毒だが、影響は県内全域。感染者が増えれば、すぐに飲食店(を規制)というのはどうなんでしょうか」と訴えた。(横山蔵利)