南海トラフ地震の事前避難地域、設定作業は道半ば 愛知

床並浩一
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 日向灘を震源にして今月22日に起きた大規模地震に愛知県内の防災担当者は慌てた。南海トラフ巨大地震の想定震源域内で巨大地震が起きる可能性が高まったときに気象庁が知らせる「臨時情報」の発表が、頭をよぎったからだ。一部地域の住民に事前避難を促す体制づくりは、道半ばの状態にある。

気象庁の「臨時情報」で避難要請

 22日の地震では、大分、宮崎両県で最大震度5強を観測。地震規模を示すマグニチュード(M)は6・6(推定)だった。震源は南海トラフ巨大地震のプレート境界ではなく海側プレートの内部で、今回は発生の可能性が低いとされた。

 南海トラフ巨大地震については国の地震調査委員会が今月、M8~9クラスの地震が今後40年以内に起きる確率を前年の「80~90%」から「90%程度」に引き上げたばかりだ。

 臨時情報は、想定震源域や周辺で大きな地震などが観測され、巨大な後発地震につながる可能性があると判断された場合などに「臨時情報(巨大地震警戒)」などと発表される。

 今回の地震がM6・8以上であれば、2019年の運用開始以降初めて「臨時情報(調査中)」が発表される可能性があった。三河地方の自治体担当者は「もし発表されていたら相当混乱していた」と話す。

 というのも、M9クラスの後発地震に備えて発表される臨時情報(巨大地震警戒)に基づき、自治体が住民に1週間の事前避難を求めることになる「事前避難対象地域」の設定が、県内の一部自治体で済んでいないためだ。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大も災いして、説明会や実動訓練などを通じた住民への周知や理解も進んでいない。

 発生から30分以内に30センチ以上の浸水が想定される地域で、国内最大規模の海抜ゼロメートル地帯が広がる県内では、津波による浸水に加え、河川堤防の沈下などで浸水する可能性がある地域が対象になる。

 県のまとめによると、名古屋市豊橋市など10市町村が昨年12月までに設定を済ませ、今年度中の設定をめざす田原、蒲郡、弥富3市のほか、津島、愛西の両市も調整・検討中という。

 名古屋市は昨年7月、液状化による堤防の沈下や損壊で浸水が懸念される熱田、中川、港、南、緑5区の一部地域を対象に設定した。事前避難を求める住民約2万5千人に予定していた説明会(タウンミーティング)の代わりに説明資料を全戸に配る予定だ。担当者は「周知が十分ではない。今後も説明に努めたい」と話す。(床並浩一)

 〈事前避難対象地域〉 南海トラフ巨大地震想定震源域のプレート境界でM8以上の地震が起きたと評価され、臨時情報(巨大地震警戒)が発表された場合、1週間の事前避難が求められる地域。市町村が設定する。県内では当初25市町村が検討対象になったが、県によると10市町は「設定は不要」と判断した。

事前避難対象地域を設定した10市町村(昨年12月1日時点、愛知県まとめ)

・名古屋市

・豊橋市

碧南市

刈谷市

東海市

高浜市

あま市

・大治町

蟹江町

飛島村