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台湾の医師団体、滋賀に医療機器100台を寄贈 「お互い助け合い」

菱山出
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 血中酸素濃度を測るパルスオキシメーターは、新型コロナウイルス感染者が自宅療養や宿泊療養する際に必要となる。感染が急拡大し、自治体にとっては1台でも多くあれば助かる。そんななか、滋賀県大津市に対し、台湾の医師でつくるボランティア団体が50台ずつ寄贈してくれることになった。

 きっかけをつくったのは、「輝生(きせい)医院」(大津市)の院長で産婦人科医の大田一博さん(74)。台湾出身の大田さんは台中市の中国医薬大学を卒業後、1978年に来日し、京都大医学部で医学博士号を取得した。2020年7月に死去した台湾の李登輝・元総統とも親交があり、日台間の架け橋を務めてきた。

 昨年6月、ワクチン不足に陥った台湾に日本政府がいち早く無償提供したことに感激。台湾の新聞に「感謝しよう」と投稿し、マスクの寄贈を呼びかけた。40万枚が日本に送られ、自治体に寄贈した。

 ボランティア団体は「福和会」。台湾の医師45人でつくる。理事長を務める林逸民さん(78)は、大田さんの大学の先輩だ。宿泊、自宅療養者の急増を見込み、2人で話し合ってパルスオキシメーターを県と大津市に寄贈することを決めた。

 昨年10月、福和会が台湾の医療機器卸会社から100台を購入。機器は世界各国に輸出実績のある台湾メーカー製。昨年9月に台湾当局が日本に1万台を寄贈したのと同じ機種という。

「お互いが困っているときには助け合いたい」

 ところが、日本に送ろうとして問題が発生した。パルスオキシメーターは医療機器のため、医薬品医療機器法(旧薬事法)の規定で寄贈できないことが判明した。

 どうすれば寄贈できるのか。福和会が購入したメーカーは、東京にも100%出資の子会社がある。子会社が販売している機器を大田さんが購入すれば、問題を解決できることが分かった。購入をやり直し、機器100台が25日、無事に輝生医院に届いた。28日に県と大津市に渡す。

 県健康医療福祉部の角野文彦・理事は「パルスオキシメーターは健康観察の必須アイテム」と話す。県もそれなりの台数を確保しているが、第6波はほとんどが自宅療養者で足りなくなる事態も危惧される。「寄贈は本当にありがたい」と感謝する。

 大津市危機・防災対策課の松浦康之(やすし)課長も「ここまで宿泊、自宅療養者が拡大するとは思っていなかった。感謝しかない」と述べた。

 大田さんは「今は日本が有事。お互いが困っているときには助け合いたい」。福和会の林さんは「台湾がワクチンで一番困っているときに日本が助けてくれました。少しでもお役に立てば」と話している。(菱山出)