岡山編の懐かしのあの人カムバック 異例の2役 27日のカムカム

土井恵里奈
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 まさかケチ兵衛、生き返ってカムバックか――。27日のカムカムエヴリバディには、岡山編の懐かしの人が登場した。でも、違うんです。息子の吉右衛門(きちえもん)なんです。俳優堀部圭亮(けいすけ)が、ドケチのそっくり親子2代を演じる。

 るい(深津絵里)と錠一郎(オダギリジョー)は、京都で回転焼き屋を始める。錠一郎は手作りのチラシを配りに、近所へ。立ち寄った荒物屋の主人として登場したのが、吉右衛門(堀部圭亮)だ。

岡山編初回から

 ケチ兵衛と吉右衛門。どっちの顔も思い浮かばない場合は、岡山編の初回放送を思い出してほしい。その昔、安子(上白石萌音)の兄算太(濱田岳)が、ある店からラジオを盗んだ日のことを。

 このラジオの持ち主で、盗まれて激高していたのがケチ兵衛(本名は吉兵衛)。あだ名のとおり、ドケチな荒物屋の店主。安子たちと同じ商店街で商売を続け、その後空襲で亡くなった。

 一方、吉右衛門はそのせがれだ。初回放送から赤ちゃんとして登場し、たちばなの和菓子が大好物。父と正反対の、清く正しい人格者の少年に成長していた。

 しかし、である。この日再登場した吉右衛門は、おやじそのままのケチ男になっていた。

だんだん父に似て

 見た目もしぐさも父そっくり。店の貼り紙には「買わぬなら帰らせるのが吉右衛門」「何でも売る!」と誓う文字が。母から「昔は素直なええ子やったのに、年々お父ちゃんに似てくるんやさかい」と言われる。時の経過と遺伝子は恐ろしい。

 一人二役を演じる堀部圭亮は、放送前、こうコメントしていた。

 「今まで色々な役を頂いてきましたが、ケチというのは初めて。ボク自身はどちらかというと見えっ張りで、気前良く見られたいところがあるので、役とは真逆(まぎゃく)の性格です。この機会に、ケチとは何か? ケチの利点とは? トコトン掘り下げてみる覚悟です。日常的にケチを実践します」

 まさか親子2代にわたってケチを演じるとは。「カムカム」恐るべし。

親子の切れぬ縁ここに

 面白おかしいケチ兵衛親子だが、2人には悲しい過去がある。わかり合えないまま、ケチ兵衛は空襲から吉右衛門をかばって死に別れてしまったのだ。

 ケチ兵衛のケチぶりは、実は一人息子吉右衛門を守るため。しかし親心が伝わらないまま、戦争が2人を引き裂く。吉右衛門が最後に父に言った言葉は「お父ちゃんなんかじゃねえ。あこぎなケチ兵衛じゃ!」。怒りの言葉が、親子の最後の会話になってしまう。

安子とるいの関係も

 どことなく、安子とるいの親子関係に似ている。

 わかり合えないまま別れた、最愛の2人。いつのまにか似ていて、気付けば同じ道を歩んでいる。

 この日の放送で、吉右衛門がるいの作った回転焼きを食べるシーンが印象的だ。

 「なんや、懐かしい味するなあ」

 吉右衛門は、るいがたちばなの看板娘だった安子の娘とは知らない。けれどるいの和菓子は、母の味、たちばなの味なのだ。

 亡くなっても、別れても、家族の絆は生き続ける。始まったばかりのるいの和菓子作りが、次の世代のファミリーストーリーにつながっていく。(土井恵里奈)