限られた予算、締め切りギリギリ! 図録制作の苦労を4コマに

榊原織和
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 限られた予算、迫る締め切り……。美術館や博物館などの展覧会で、展示品の写真や解説を記録する「展覧会図録」制作の苦労を、島根県立美術館松江市袖師町)の学芸員らが4コマ漫画で表現した。美術館や図録に親しみを持ってもらいたい、との思いを形にしたという。

 県立美術館は昨年5月から改修工事のため休館中で、その間の企画として県立図書館(松江市内中原町)で図録展を開催している。開館した1999年から開いてきた158の展覧会の中から、約60冊が並ぶ。

 力を入れたのは「展覧会図録とはなにか?」という解説パネル。展覧会によっては売り切れになるほど人気があり、「隠れたベストセラー」とも呼ばれる一方、最新の調査研究が載った学術書としても評価される。そんな図録の楽しみ方や、制作過程などをわかりやすく紹介している。

 中でも目を引くのは、「図録制作あるある」として、コメディータッチで描かれた4コマ漫画集のパネルだ。

 「図録制作を振り返ると、『こんなに大変だった……』という話が真っ先に出てきます」と担当した学芸員の柳原一徳さん(45)。よくある制作過程での苦労話を集め、イラストが得意な職員と一緒に漫画に仕立てた。

 「始まりはいつもドリームプラン♪」と題した漫画では、絵画展の担当学芸員が、大きく、デザインの凝った図録をつくりたいと妄想するが、経費の担当者らに現実を突きつけられる。

 実際、図録の制作は予算とのにらみあいだという。「何度も見積もりを取り、予算を超えれば、泣く泣く一部をやめるということもあります」

 別の漫画では、学芸員がトラックに乗って他の美術館へ作品の集荷に向かうが、車内でほぼ完成に近い図録に間違いを見つけてしまう。

 複数の美術館を泊まりがけで回る作品の借り受けは、担当学芸員にとって大事な仕事の一つだが、開幕間際は図録制作の追い込みも重なる。この時期、休む間もなく校正作業にあたる担当者にとって、作品集荷の長旅を共にする美術品専門の運搬業者らは「展覧会という『戦い』の中での戦友になります」と柳原さん。

 柳原さんは西洋絵画や日本の近代洋画が専門で、企画提案から7年越しで開催した2019年の「黄昏(たそがれ)の絵画たち」展のほか、全国五つの美術館が共同企画し400ページ以上の厚い図録を制作した「生誕100年松本竣介展」などを担当した。「図録制作には自己満足のこだわりを追求しているところもあるが、やはり最後はお客さんに評価して喜んでもらえることで報われます」

 図録展は来月2日まで。4コマ漫画は、県立美術館のツイッターでも公開している。(榊原織和)