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広島県が保健所業務を見直し 感染者本人が濃厚接触者に連絡

新型コロナウイルス

比嘉展玖 蜷川大介、能登智彦、福冨旅史
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 広島県は、新型コロナウイルスの感染者の急増で逼迫(ひっぱく)する保健所の業務の見直しを決めた。保健所の負担を減らすため、同居者以外の濃厚接触者への連絡を感染者本人にしてもらうことなどが柱だ。ただ、福山市と呉市の保健所は「感染者からの連絡は困難な場合がある」などとして、従来通り連絡を続ける方針だ。

 湯崎英彦知事は25日夜の記者会見で、県内全域で適用されている「まん延防止等重点措置」の期限を今月31日から2月20日まで延長すると発表。要請内容に変更はなく、飲食店には酒類を提供せず、営業時間を午後8時まで短縮するように求める。

 県は、重症化リスクの高い患者への対応を優先するため、保健所の業務の見直しを始めた。保健所は今後、同居者以外の濃厚接触者について、特定作業までは行うが、濃厚接触者に連絡して10日間の外出自粛と発症時の医療機関の受診を伝えることは感染者本人に任せる。

 また、保健所が担ってきた感染経路や所属先の調査は、重症化リスクが高い人が多い医療機関と高齢者施設などの社会福祉施設に限定する。職場や学校で感染者が出た場合には、各組織が接触者に発症時の受診などを促すことになる。

 保健所はこれまで、感染者の行動歴をたどる「積極的疫学調査」で濃厚接触者を特定し、全員に連絡をしてきたが、その業務の一部を行わないことで、急増する自宅療養者の体調が急変した際の対応や、優先的に入院が必要な人を判断するための調査などに注力するという。

 県は、増加する自宅療養者への支援態勢の強化にも力を入れている。今月、重症化リスクの低い感染者について自宅療養を基本にする方針に転換し、24日時点で自宅療養者は計1万4047人。全療養者の91%を占めるという。県は26日に自宅療養者自身が新型コロナの経口治療薬の投与対象になるのかを相談できる相談ダイヤルを開設した。

 湯崎知事は25日の会見で、「これまでのやり方では、保健所は患者への対応や高齢者施設のクラスター対策ができなくなるおそれがある。適切に業務を振り分け、患者の重症化防止に必要な業務遂行を維持したい」と語った。(比嘉展玖)

     ◇

 県が同居者以外の濃厚接触者への連絡を感染者本人にしてもらうことを決めたのに対し、福山市と呉市は保健所から濃厚接触者への連絡を従来通り続ける方針だ。感染者からの連絡が困難な場合がある▽濃厚接触者の自宅待機や外出自粛は、保健所からしっかり説明しなければ対応が難しい――などの理由だ。

 福山市保健所の田中知徳所長は26日の記者会見で「(感染者から)『濃厚接触者だから、自宅で待機して』と言われた人は不安に思うだろう。保健所に問い合わせが殺到しかねない。すでに保健所業務はぎりぎりの状態で、こちらから連絡した方が対応しやすい」と説明。「県の方針に反対というわけではないが、現実的にどちらが大変だろうと考えている」と話した。

 呉市保健所の担当者も「感染者本人からの連絡は体調や気持ちの面で難しいこともある」と言う。

 一方、広島市は26日から県方針に合わせた運用を始めており、業務の効率化につながるとみている。担当者は「(問い合わせが増えかねないなどの)懸念はあるかもしれないが、始まったばかりなので未知数。いままでのやり方を変えていかないと、もう対応できない状況だ」と語った。(蜷川大介、能登智彦、福冨旅史)

濃厚接触者とは(広島県のホームページから)

①患者と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内などを含む)があった人

②手で触れられる距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策なしで患者と15分以上の接触があった人

③患者の気道分泌液や体液などの汚染物質に直接触れた可能性が高い人

④適切な感染防護なしに患者を診察、看護、介護した人

濃厚接触者になったら

①患者と最後に接触があった日(最終接触日)の翌日から10日間の外出自粛

②1日2回(朝・夕)の体温測定など、健康状態の確認。発熱、せき、息苦しさ、強い倦怠(けんたい)感などの症状に注意し、これらの症状が出たら、かかりつけ医などを受診する

③同居者がいる場合は、タオルや食器などの共用は避ける。ドアノブや電気のスイッチ、トイレの便座などの共用部分は消毒する。鼻をかんだティッシュや使用した使い捨てマスクは、すぐにポリ袋に入れ、密封して廃棄する

     ◇

 〈濃厚接触者〉 必要な感染対策をせずに感染者と1メートル程度の近さで15分以上の接触があった人らが対象となりうる。マスク着用や会話の有無などで感染リスクは大きく異なり、保健所などが判断する。濃厚接触者は10日間の外出自粛や、1日2回の体温測定、発熱やせきなどの症状が出たら受診を求められる。

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