IS襲撃の刑務所、クルド人勢力が制圧 構成員はなお潜伏か シリア

イスタンブール=高野裕介
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 シリア北東部で過激派組織「イスラム国」(IS)が仲間の脱走を狙った刑務所への襲撃で、一帯を実効支配する少数民族クルド人勢力は26日、この刑務所を制圧したと明らかにした。ただ、周辺地域には脱走したIS構成員らが潜伏しているとみられ、予断を許さない状況が続いている。

 襲撃は20日夜、内戦が続くシリアの北東部ハサカ県のグウェラン刑務所で発生。自動車爆弾が爆発し、銃撃戦となった。刑務所を管理するクルド人主体の武装組織「シリア民主軍」(SDF)は、200人以上による攻撃で、半年前から準備されたとしている。

 在英の反体制派NGO「シリア人権監視団」(SOHR)によると、26日までにSDF側50人、IS側124人、市民7人の計181人が死亡。これまでに約1600人のIS構成員らが投降したとしている。

 国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、最大4万5千人の周辺住民が避難。一方、外国人を含め約3500人がいたとされる刑務所には多くの子どもも残されていたが、AP通信は、避難させたとするSDFの主張を伝えている。

 ISは一時はイラクとシリアの領土の3分の1を支配したが、米軍主導の有志連合による空爆などで衰退し、イラクは2017年末にISとの戦闘完了を宣言。19年3月にはシリアにある最後の「領土」を失った。

 今回の攻撃は、それ以降で最大規模のものだった。衰退が続くなか、攻撃の戦果を誇示することで支持者らにさらなるテロを呼びかけ、治安の悪化に拍車がかかる恐れもある。(イスタンブール=高野裕介)