「目の前にある差別に関心持って」 朝鮮学校に本を贈る大学生たち

大貫聡子
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 京都女子大(京都市東山区)の大学生が、滋賀と京都の朝鮮学校に本を贈る取り組みを続けている。今年度で4年目となり、これまでに寄贈した本は3千冊を超える。なぜ本を贈る必要があるのか。学生らは「現状を知り、目の前にある差別に関心を持って欲しい」と話している。

 取り組みを指導するのは、法学部の市川ひろみ教授。2013年からゼミ生とともに朝鮮学校と交流を重ねるうち、18年、京都朝鮮中高級学校のオモニ(母親)会の会長だった朴錦淑(パククムスク)さんから、行政の補助が乏しく図書購入費を捻出するのが難しいことを聞いた。18年度から本の寄付を募り、寄贈する活動を始めた。

 今年度も国際関係論平和研究を学ぶ3、4年生6人が寄付を募るパンフレットをつくり、全国から本が集まった。対象年代で仕分ける作業などをして、2月にも大津市京都市の朝鮮初級学校、京都市の朝鮮中高級学校に贈る予定だ。

 3年の片山真波さん(21)は活動を通じ、「なぜ自分のルーツを知り、民族教育を受けることがこれほど難しいのか、社会の問題として考えるようになった」と話す。

 学生らがつくったパンフレットには、朝鮮学校ができた歴史的経緯や、国が学校教育法第1条で定める「学校」と認めておらず、本の購入費用を確保するのが難しい現状などが書かれている。

 今年度は「子どもの権利条約」についても触れた。日本は「自己の文化を享有し、自己の言語を使用する権利を否定されない」などとする条約に批准している。しかし、履行状況を審査する国連の委員会は朝鮮学校の処遇をめぐり、日本政府に是正勧告を出している。

 文章を書いた3年の戸川琴乃さん(21)は「国際的にも問題視されていることを伝えたかった」と話す。

「多くの人の思いや厚意が集まった幸せな図書室になった」

 大津市木下町の滋賀朝鮮初級学校・付属幼稚班の図書室には、市川ゼミの学生らから贈られた本が並ぶ。

 同校では、子どもたちに多くの本を読んで欲しいとの思いから、オモニらが大津市立図書館で本をまとめて借り、子どもたちに貸し出す「オモニ文庫」という活動を1990年から続けてきた。その後、図書館や韓国の市民団体からの本の寄贈や伊藤忠記念財団の助成金を受けられるようになり、市川ゼミの寄贈も加わった。

 今では蔵書数は8千冊を超える。図書室担当の康敬子(カンギョンジャ)先生は「今では多くの人の思いや厚意が集まった幸せな図書室になっている」と感謝する。

 京都女子大3年の塩川瑶子さん(21)は活動を通じ、「今まで見えなかった差別が見えるようになった」と言う。3年の中山知美さん(21)は「多くの人に朝鮮学校の現状に関心を持って欲しい」と呼びかける。(大貫聡子)