メタ主導の仮想通貨「ディエム」、米銀に資産売却へ 米紙報道

サンフランシスコ=五十嵐大介
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 フェイスブック(FB)を傘下に持つメタが構想を主導する暗号資産(仮想通貨)「ディエム」をめぐり、発行を目指す団体が米銀に資産を売却することが明らかになった。米ウォールストリート・ジャーナル紙など複数の米メディアが報じた。メタの仮想通貨構想は何度も縮小を迫られてきたが、事実上の撤退となる可能性がある。

 報道によると、ディエムの発行を目指す「ディエム協会」が、カリフォルニアに本拠を置く銀行「シルバーゲートキャピタル」に資産を2億ドル(約230億円)で売却するという。メタは昨年、シルバーゲートと提携し、同銀がドルに連動する仮想通貨「ディエム・ドル」を発行すると発表していた。米ブルームバーグによると、米金融当局の反対が根強く、発行が困難になったという。ディエム協会は取材に「コメントしない」としている。

 メタは2019年、複数の主要通貨のバスケットに連動する単一の仮想通貨「リブラ」構想を発表。だが、巨大IT企業がかかわる仮想通貨が主要通貨である米ドルなどを脅かすとの懸念や、マネーロンダリングに悪用されるリスクなどから、主要国の政府や中央銀行が猛反発していた。

 リブラの発行を目指していたスイスの団体「リブラ協会」は20年、名称を「ディエム」に変更し、ドルなどの個別の通貨に連動する仮想通貨などを発行する形に計画を縮小していた。

 米国発のリブラ構想の後退を横目に、中国政府はデジタル通貨の導入を急いでいる。中国は19年から「デジタル人民元」の実証実験を主要都市で実施しており、年内の導入を目指しているとされる。これまでデジタル通貨に慎重な姿勢を示してきた米連邦準備制度理事会(FRB)は今月、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)に関する報告書を初公表しており、導入の検討を本格化させる。(サンフランシスコ=五十嵐大介