ミャンマー国軍がクーデターで権力を掌握してから2月1日で1年となった。国軍の弾圧による犠牲者は増え続け、治安や経済は悪くなるばかりだ。国軍は今後どのような行動に出るのか。国際社会に打つ手はあるのか。ミャンマーの政治と経済に詳しい政策研究大学院大学の工藤年博教授(東南アジア経済研究)は、国軍は統治を盤石にするため今年勝負に出ると予測する。
――クーデターから1年が経ちますが、情勢は悪化しています。
クーデターはよく準備されたものではなかったと思います。国民のこれほどの抵抗は想定しておらず、国軍は抗議デモの群衆に発砲しました。市民に多くの犠牲が出たことで、アウンサンスーチー氏を支持する民主派と国軍は政治的な妥協ができない状況に陥りました。
――事態が改善に向かう糸口はあるのでしょうか?
混乱の原因はクーデターを起こした国軍にあります。ですが、民主派が対決姿勢で一辺倒なことも、混迷を深めています。(国軍の権益を保護する)憲法の廃止や国軍の解体など、国軍が受け入れられない要求を突き付け、武装闘争に踏み切りました。
――国軍の強硬姿勢も変わっていません。
ミンアウンフライン国軍最高司令官にとって、1年たっても国民の抵抗を抑えることができない事態は誤算だったと思います。しかし、これで態度を軟化させることはないでしょう。民主派に弱腰をみせれば、国軍の結束を維持できなくなるからです。
国軍が容認できなかったのは
――そもそも国軍はどうしてクーデターに踏み切る必要があったのでしょうか?
スーチー氏率いる国民民主連…
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