特異な才能ある子支援へ有識者会議 東大教授、悔やむ「線引き」
「ギフテッド」などと呼ばれる特異な才能のある子どもの支援を国が検討し始めている。文部科学省の有識者会議は昨年12月、才能のある子を選抜して英才教育をするのではなく、能力をもつがゆえに抱える困難を解消する支援が重要とする考えをまとめた。対象の子をどう見いだすかなどの具体化が今後の課題だ。
科学や数学、スポーツ、芸術などの分野で特異な才能のある子への才能教育は、欧米や中国、韓国などでは国が制度化するなどして行われている。歌手のレディー・ガガさんや「メタ(旧フェイスブック)」のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者らも受けてきたとされる。
日本では学校教育法施行規則の改正により1998年以降、高校2年で大学に入る「飛び入学」が千葉大学など8大学で開始。これまで計約140人が利用した。ただ、同学年との高校生活を大切にし、受験を経て大学に入る流れは大きく変わらなかった。
小中学校では同学年の子どもに同じ内容を教えることが重んじられ、才能をもつ子への教育はあまり議論されてこなかった。しかし、才能がありながら学校で奇抜な行動をしていじめられたり、授業をつまらなく感じて不登校になったりする子がいることが指摘されるようになった。
文科省は昨年6月、有識者会議を立ち上げ、才能とは何かという定義や、対象の子をどう見いだすかをまず検討した。委員からは「トップ人材育成に偏らない方がいい」「線引きが誰かを傷つけることがある」と、選抜に否定的な意見が相次いだ。8~9月に子どもや保護者に実施したアンケートでは、「授業が面白くなく我慢の限界」「みんなと違う部分が強調され、いじめの対象に」などという声が集まった。
昨年12月17日、議論の方向性として出された「論点整理」では、「何らかの特定の基準によって才能を定義し、定義にあてはまる児童生徒のみを『特異な才能のある』と扱うことは行わない」と明示。選抜した子に特定のプログラムを提供することは「子どもをラベル付けすることになりかねない」と指摘し、才能があっても学校になじめず困っている子への支援を中心に議論することになった。
背景には、選抜制度を設けれ…
- 【視点】
昨年末、立て続けにいわゆる「ギフテッド」と目されるお子さんをもつお母さんのお話を伺いました。小学校では「扱いづらい子」のレッテルを貼られてしまいつらいと。 「算数の先生方と相談した結果、学習指導要綱に乗っ取っており、これをクリアしなければ
- 【視点】
記事で取り上げていただいた有識者会議と、総合科学技術・イノベーション会議の二つに参加させていただきながら、この議論に参戦させていただいています。 ギフテッド傾向の子どもたちの才能は凸凹があり、一律に優秀な子、については飛び入学を、という判