「わかってくれないのは織り込み済み」 河井事件検審議決に検察幹部

川嶋かえ
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 河井克行元法相らによる2109年の参院選広島選挙区での巨額買収事件で、検察がいったん不起訴とした被買収側100人のうち地元議員ら35人に「起訴相当」の議決が出た。市民らによる検察審査会に異を唱えられた検察の再捜査の行方が注目される。

 「検審の議決は織り込み済み」「事件の特殊性をなかなか分かってくれないだろうと思っていた」。検察幹部らは、検審の議決を淡々と受け止めた。

 東京地検特捜部は昨年7月、被買収側の100人を全員不起訴とした。処分前に死亡した1人を除く99人は、犯罪の成立は認めたうえで悪質性などを考慮して起訴を見送る「起訴猶予」とした。事件を主導した河井夫妻と受動的な立場だった被買収側で分ける以外に、合理的な線引きはできないという判断だった。

 だが検審は「夫妻の責任が最も重いことに異論はない」としつつ、被買収側の一律不起訴は「金の受領が重大な違法行為であることを見失わせる恐れがある」と指摘し、職業や金額、返金の有無で線引きした。

 起訴相当を受けた再捜査期限は原則3カ月だが、3月下旬以降に順次時効を迎えるため、特捜部は捜査を急ぐ。起訴相当に対する再処分は、最初の不起訴が証拠が足りないという嫌疑不十分の場合は不起訴を維持し、今回のような起訴猶予の場合は略式の形で起訴する例が目立つ。後者のケースでは昨年、黒川弘務・元東京高検検事長と菅原一秀・元経済産業相が一転して略式起訴され、非公開の書面審理で罰金刑を受けた。

 一方、特捜部の当初の判断への不満はくすぶる。不起訴処分は克行氏が実刑判決を受けた後で、克行氏側の関係者は「裁判で被買収側から『選挙目的の買収だ』という証言を得るための司法取引的な不起訴だった」と改めて憤った。(川嶋かえ)