抱え上げない介護を当たり前に スライディングシートで腰痛の職員減

奥平真也
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 介護の現場で抱え上げないを当たり前に――。滋賀県社会福祉協議会は、介護職員の負担を軽減するとともに利用者も気兼ねしないですむように、「抱え上げない介護推進事業所」に県内2カ所の施設を推奨した。今後、ほかの施設に対しても採り入れるようにPRしていく考えだ。

 県社協のほか、推奨を受けた「甲賀市介護老人保健施設ケアセンターささゆり」と「JAゆうハート水口ヘルパーステーション」(甲賀市)の職員らが24日に会見し、取り組みをアピールした。

 車いすでお尻の位置が前にずれてしまった場合、従来は後ろから両手で胸部を抱えて引っ張り上げていた。抱え上げない介護は、「スライディングシート」という専用のシートを使う。お尻の下にシートを当てるとスムーズに位置を戻すことが出来る。

 ベッドから車いすに移る場合は「スライディングボード」という板を使う。スムーズに移ることができるほか、被介護者も自分の力を使って動くのが容易になる。ストレッチャーにのせる時もボードが有効という。

 県社協などが実施した2020年度の調査では、県内の施設で働く介護職員の71・5%が腰痛の悩みを抱えていた。抱え上げるのが一般的で、腰痛は介護現場で働く職員の悩みの種だ。

「ごめんね、重いやろ」とすまなさそうに

 厚生労働省は13年6月、腰痛予防対策指針を改定し、介護や医療の現場では「原則として人力による人の抱え上げは行わせないこと」と明記した。

 ただ、県社協によると、あまり周知されず普及していない。「ささゆり」の職員によると、介護の現場は「先輩の背中を見て学ぶ」傾向があり、従来のやり方からなかなか脱却できない事情もあるという。

 2施設とも、現在は「抱え上げない」を原則としている。その結果、腰痛持ちの職員が減少した。利用者は「ごめんね、重いやろ」とすまなさそうにしていたが、シートや板を使うと自分で動くことが出来るので心の負担も減った。さらに床ずれが減るなど医療上の改善点もあるという。

 県社協は「個人レベルではなく施設全体での意識改革が必要」として、研修事業に力を入れている。抱え上げない介護推進事業所の推奨は、年に1回程度行っていく考えだ。

 参事の谷佳代さんは「『抱え上げない』が当たり前の介護にしていくのが最終目的。長く働き続けられる職場になって欲しい」と話している。

 2月6日、草津市新浜町のイオンモール草津で開かれる介護イベント「しがけあフェスタ」でもブースを出展し、「抱え上げない」をPRする。問い合わせは県社協(077・567・3907)へ。(奥平真也)