東京23区、初の「転出」超過 専門家「この流れ簡単に戻らない」

小泉浩樹
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 総務省が28日公表した住民基本台帳に基づく2021年の人口移動報告で、東京23区は転出者の数が転入者数を1万4828人上回り、比較可能な14年以降で初めて「転出超過」になった。コロナ禍で東京への集中緩和の傾向が続いており、専門家は「大きな転換点になる可能性がある」と指摘する。

 東京23区が転出超過になったのは、外国人を含む集計を始めた14年以前の統計で見ても、1996年以来となる。新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年から転出者が増加しており、総務省の担当者は「新型コロナが影響している可能性がある」との見方を示した。

 東京都全体では5433人の転入超過だったが、前年より2万5692人縮小し、14年以降過去最少だった。東京都では毎年、入学・就職シーズンの3~4月に転入者が大幅に増えるが、20年は4万4713人だった転入超過数が21年は3万151人に減少した。

 転入超過の都道府県別では神奈川、埼玉、千葉など10都府県。うち東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)の周辺にあたる茨城、山梨、群馬が、前年の転出超過から転入超過に転じた。

 一方、東京23区からの転出先の分析では、新型コロナ流行前の19年は東京都内や、東京23区に近接している他県の地域が多かったが、21年は神奈川県茅ケ崎市藤沢市埼玉県上尾市茨城県つくば市など、東京からより離れた自治体で多くなる傾向があった。

 人口や地域振興の問題に詳しいみずほ総研の岡田豊主任研究員は、新型コロナの感染拡大でリモートワークが普及したことがこの変化の要因と指摘する。

 岡田さんによると、20年は東京23区からの転出先は東京圏や北関東が多かった。それに対して21年は、徳島県大分県といった四国・九州への転出が前年より増えるなど、東京圏の周辺からより離れた地域に転出する人も増えているのが特徴だという。

 IT企業を中心にリモートワークを前提に居住地の制限をなくす企業が増えていることから、岡田さんは「この流れはそう簡単には戻らない。大きな転換点かもしれない」と語った。小泉浩樹

転入超過数の多い上位20自治体(2021年)

※人数は転入超過数。カッコ内は20年の順位

1位 さいたま市(4)   10527人

2位 横浜市(3)     10123人

3位 札幌市(5)      9711人

4位 大阪市(1)      7893人

5位 福岡市(6)      7158人

6位 千葉市(8)      5920人

7位 茨城県つくば市(10)  4643人

8位 神奈川県藤沢市(12)  4554人

9位 千葉県流山市(9)   3889人

10位 相模原市(18)     3837人

11位 千葉県柏市(11)    3722人

12位 東京都八王子市(22)  3563人

13位 東京都町田市(23)   3470人

14位 大阪府吹田市(19)   3072人

15位 川崎市(7)      2768人

16位 千葉県船橋市(15)   2728人

17位 神奈川県大和市(20)  2580人

18位 仙台市(14)      2288人

19位 神奈川県茅ケ崎市(35) 2214人

20位 埼玉県川口市(17)   1964人