「越冬菜」きょうから販売 山形県朝日町

辻岡大助
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 山形県朝日町の雪室に貯蔵した野菜「越冬菜(えっとうさい)」の販売が29日、同町の「道の駅あさひまち」で始まる。品種名ではなく、文字どおりの野菜。その命名の背景にはリンゴ農家が多い豪雪の地という事情がある。

 店頭には、ハクサイ、ニンジン、キャベツ、ダイコン、カブが並ぶ予定。いずれも晩秋に町内で収穫された野菜で、1カ月前にコンテナ16箱に分けて道の駅の隣の広場に設けた雪室に貯蔵し、今月27日に掘り出した。

 越冬菜作りは、道の駅の生産者組織の一つ、農産物部会が2018年度に始めた。特産のリンゴを栽培する農家が多い町では、野菜の生産量が少ない。しかも露地栽培が主流のため、冬場はさらに野菜の種類や数が減ってしまう。

 そこで着目したのが「天然の冷蔵庫」と言われる雪室。野菜を収めたコンテナをシートで包んだうえで雪で覆い、かまくらのような形にする。ネズミによる食害を防ぐため、地面にはあらかじめ金網を敷く。雪国ならではの暮らしの知恵だ。

 雪室の内部は温度と湿度が一定に保たれ、水分に囲まれた状態となるため、野菜はカラカラに乾いたり、しなびたりすることがなく、1カ月にわたりみずみずしく保存される。「ダイコンは千切りしてサラダにすればおいしい」と部会長の白田健志さん(65)。野菜は凍らないように糖を出し、甘みを増すという。

 ただ、越冬菜を用意するには、雪室を造れるだけの積雪が条件。19年度は暖冬のため、越冬菜作りを見送ったが、今冬は町が町内で最深145センチの積雪を独自に観測した。

 道の駅の駅長、加藤拓生さん(35)は「地元産の新鮮な野菜を目当てに訪れるお客さんも多いので、越冬菜を集客の目玉にしていきたい」。越冬菜は来月、町内の一部の小学校で初めて給食の材料として使われる予定で、食育にも活用されるという。(辻岡大助)